第17章 ハジメテの痛み
「んふ。今日はねえ、特別にお腹が空いてるんだ…っ…」
ライトくんが舌なめずりをする。
「腕でも首でもいいからさっさと終わらせて」
「んふ。気に入らないなあ、その言い方。慣れって恐ろしいよねえ」
「っ…だって、慣れないと…こんなこと…」
「耐えられない?」
「……………」
「そうか、じゃあ分かった」
ガッと腕を掴まれ、あの時に無理やり襲われた恐怖で小さな悲鳴を上げる。
「お花ちゃんにひとつ、絶対に耐えられそうにないことを教えてあげるよ!」
「っ………!!」
テーブルの上に押し倒される。
「こうしてね、ヴァンパイアに吸血されたりしてるとね…徐々に、人間の身体はヴァンパイアの血に冒されていくんだ」
ブチブチとブラウスのボタンが弾け飛ぶ。それだけで私は顔を強ばらせた。
「キミは薄々気がついてるかもしれないけどさ…」
「(やっぱり最近身体がおかしいのは…。待って、ヴァンパイアになるってことは…天使じゃなくなる?)」
サッと顔を青くさせた。
「いやっ!離して!」
「離すわけないでしょ。ほら、暴れるとあの時みたいに無理やり痛くしちゃうよ?」
「っ!!」
「そーそー…いい子だね、お花ちゃん…」
「あっ!!」
「んんっ…んー…」
「(胸…噛まれてる…っ…!!)」
「ん…はぁ…やっぱり…心臓に近い部分の血は…特別に甘いな…。それに…とっても柔らかい…」
「…うぅ…」
「痛いかい?んふ…っ…」
「い、たぃ…!!」
ポロポロと涙が溢れる。
「…泣いた顔もほんっとーに可愛い。いいよ、もっと泣いて…はっ…んんっ…」
「ひっ!あ、いやっ…!」
「痛いの?可哀想に。じゃあ、もっと痛くするね。んんっ…!」
「あぁっ……!!」
「んー…このまま、お花ちゃんの心臓にキバを突き立てて…そのまま、直に血を飲みたいなあ…」
「いっ…やぁ…!」
「んんっ…ん、ん…っ…」
「(…痛い。やだ…助けて…)」
「ダメだよ…お花ちゃん、まだだから、まだ…」
「…うっ、ん…!!」
「まだだよ…ほら、ボクを見て。痛みに耐えるんだ…そして、ボクの感覚を追って」
「だ、めっ…!!」
.