第17章 ハジメテの痛み
「それができなかったのは、お花ちゃんは本気でボクとの行為を嫌がってなかったっていう証拠だよ」
「な…っ!」
そう言い切られ、私は言葉を失い唖然とした。確かにライトくんの言う通り、嫌なら本気で突き飛ばすなり噛みつくなりして、ライトくんから逃げればよかった。
「(いっその事、平手打ちでも…)」
けど…それができなかったのは…
「(…ライトくんに溺れつつある、の?)」
私はじっと、ライトくんを見る。
「なぁに、お花ちゃん。ボクの顔をそんなに見つめて。惚れ直しちゃった?」
「どこに惚れ直す要素があったの」
相変わらずのライトくんに顔を歪める。
「ねぇ、ライトくんが知ってる私の秘密って何?」
「さあて、何だろうねえ」
「…教えて」
「えーどうしようかな」
「教えて…ライトくん」
「お花ちゃんがもっといやらしくお願いしてくれないとイヤだね」
「(…無理!)」
「まあ、もっとも、教えてあげないけどね。ただでは」
「…そう来ると思った」
「そう言われると、ますます教えられないなあ。んふ。」
「ッ………」
「そんなに恨めしそうな顔しないの。人生はギブアンドテイクだろ?さあ、お花ちゃん。ボクに何をギブしてくれるの?」
「(…もう一生こんな人生を送るくらいなら、いっそのこと…)」
「…殺してほしいって顔してるね?けど、ボクはそんなものには興味ない。残念ながら死体には価値を見いだせない男でね。カナトくんと違って」
「(カナトくんにそんな趣味があるの!?)」
「やっぱり生きてるお花ちゃんを抱きたいし、辱めたいんだ。死体なんてなんの反応も返さないし、まったく面白くもなんともないよ」
「(…抱きたいって言った?)」
「んふ。ボクはまたキミを抱きたいって思ってるよ」
「!」
「キミはこんなボクには、死んでも抱かれたくないって思ってるだろうけどね」
「……………」
「それに、死んじゃったらキミがボクに色々聞きたいことも全部意味がなくなっちゃうんじゃない?」
「(微妙にお説教されてしまった…)」
「まあ、今日のところはキミの血でガマンしてあげるよ」
「今日のところって…いつもじゃない…!」
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