第17章 ハジメテの痛み
「そう、そうだよ…キミの中のボクを探すんだ。そして、受け入れて」
「……あっ……!!」
身体が…おかしくなりそう…
ダメ…このままじゃ、私……
意識が薄れ始め、ゆっくりと目を閉じた。
「んふ。気を失っちゃったか。まあ、無理もないか。いつもより、キツくお仕置きしたからね。でも、そっちのほうが都合良かったよ。ボクは追求されることは苦手だからね」
ぐったりとしたメグルの顔はどこか苦しげに歪められていた。
「…キミは泣いてばかりだね。まぁ、そうしてるのはボクなんだけど…」
閉じた目にまだ残る涙をライトは指先で優しく拭う。
「ボクの愛を認めてよお花ちゃん。キミは本当はもうボクに堕ちてるんだよ?でも素直じゃないキミはそれを認めたがらない」
「……………」
「どこまで堕とせば、キミの心はボクの愛を受け入れてくれるんだろうね?」
「……………」
「ねぇお花ちゃん…壊したくないからさ、早くボクのこと好きって認めてよ。そうすればボクだって───……」
そこで言葉を止めると、眉を下げ、切なげに微笑んだライトは、気を失っているメグルの唇に、そっとキスを落とす。
「──おやすみ、お花ちゃん。いや…メグルちゃんかな。チュッ。」
───どうやら私の身体は、徐々にヴァンパイア化し始めているらしい。
自分の変化に気付いていない訳ではなかったけれど、はっきり言われると非道くショックなことだった。
この身体はもう魔族の血に冒されている。あれだけ母様にキツく言われてたのに、ライトくんと関わり、繋がりを持ってしまった。
ライトくんの愛を認めたくない。だって彼の愛を受け入れてしまったら…それは神様を裏切る行為だから。母様だって絶対に許さない。
私の呪いを解いてくれる特別な人がライトくんだったらなんて…馬鹿なことを思っては無理やり頭の中から消した。
もし…私が壊れてこの世界から消えたら…
ライトくんは泣いてくれるかな───……
散々ライトくんには堕ちたくないと思っているのに…まだ私は求めてしまうらしい。自分の意思とは別に…気持ちは正直だった。
でも彼の答えは分かりきってる。きっと"アノ人"だったら…泣いたんだろうな。
next…