第17章 ハジメテの痛み
【リビング】
「(…ライトくんと繋がった日から、なんだか私の身体がおかしい。血の巡りが変わったというか…上手く説明できないけど、以前の私とは何かが違う気がする。)」
その時、ズキンッと腰に鋭い痛みが走り、思わず顔を歪める。
「(ホントに…最低だ、ライトくんは。私を無理やり抱いてる時も安い言葉で愛を囁いて…嫌だって言ってるのに何度もキスして…本当に、最低…。)」
本人は全然悪びれてる様子はないし、無理やり抱いた事への罪悪感も一切見られない。むしろいつも通りの態度に苛立ちさえ浮かぶ。
「(それにしても…不思議な運命だな。)」
私がライトくん達と出会ったのも、私が逆巻家の屋敷を訪ねて、ここで暮らすようになったのも、まるで運命の悪戯みたいに上手く行き過ぎてる。
「(誰かに運命を操る力があるとか?その"誰か"が全て仕組んだことだとしたら…)」
そう考えると何故か怖かった。
「(ライトくんが言ってた花嫁って何なんだろう?私も花嫁候補の一人だとか言ってたけど…意味が分からない。)」
"も"と言う事は…私の他にも花嫁候補がいるってことだ。そしてそれは多分…ユイちゃんだ。前に彼女に聞いたことがある。どうしてここで暮らしているのかと。そしたら"自分は彼らの生贄の花嫁"なんだと教えてくれた。
「(その時は冗談か何かと思って聞き流したけど…まさか本当に彼らの生贄に選ばれた花嫁だったなんて。)」
彼らの花嫁なんて冗談じゃない。もし逆巻透吾って人が私に関する何かを知っているなら聞き出さなきゃ。
「お花ちゃん」
「っ……!?ライトくん!?」
「こんなところで何してるの?」
「ライトくんには関係ないでしょ」
「関係ないことはないじゃない。ボクらは、ふかーい愛で繋がった者同士なんだからさ。んふ」
「っ!悪いけど…無理やり襲ったこと、許してないから。話しかけないで」
「まだ怒ってたの〜?お花ちゃんも結構根に持つほうだよねえ」
「当たり前でしょ!!」
「本当に嫌だったなら、何でボクを突き飛ばすなり噛みつくなりして逃げなかったのさ。そんなに強い力で押さえ付けてなかったでしょ?」
「そ、それは…」
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