第17章 ハジメテの痛み
「っ……ライトくん」
「んふ。どうしたの。浮かない顔して」
「誰のせいだと思ってるの…」
「んふ。ボクのせいかなあ。つくづく罪だよねえ。ボクの存在って。お花ちゃんに恋わずらいの溜め息をつかせるなんてさ」
「…そうだね」
なんかもう
否定するの疲れた
「認めるんだ?ふーん。まあいいけど、つまんないな〜」
「(…ライトくんを楽しませるつもりはないよ。)」
「それで、今日は何作ってるの?」
「お菓子だけど…」
「へえ〜!」
ライトくんが近寄り、既に出来上がったお菓子を見て、不思議そうな顔をする。
「なんていうお菓子?」
「フィナンシェっていう焼き菓子だよ」
「聞いた事ない。それって美味しい?」
「私は好き。紅茶と良く合うの」
フィナンシェをお皿に乗せる。
「味見したいなあ」
「いいけど…一個だけね?」
はい、とフィナンシェが乗ったお皿をライトくんに差し出す。けれどライトくんは食べようとしない。
「?食べないの?」
「食べさせてよ」
「ええ……」
「んふ。嫌そうな顔も堪らないね。どうせならキミからボクに食べさせてほしいなあ」
「……………」
仕方ないと諦め、お皿からフィナンシェを一つ取ると、それをライトくんの口に近付ける。
「…どうぞ」
「いただきまーす」
ぱくっとフィナンシェを半分、口に運んだ。
「んっんっ……っん……。うん、すごく美味しいよ。バターとアーモンドの香りがたまらない」
「そ、そう…良かった」
「じゃあ今度はボクが食べさせてあげる」
「え!?」
私の手から半分になったフィナンシェを奪うと、ライトくんは楽しげに私の口元に近付ける。
「はい、あーん。」
「い、いいよ!」
「ダーメ。ボクがお花ちゃんに食べさせたいから早く口開けて」
「……………」
私は恐る恐る、口を開けた。
「んっ……んっ……んっ……」
ぱくっと口に頬張るとバターとアーモンドの香りと味が口内に広がり、目を輝かせる。
「美味しい!」
「ふふ、お花ちゃん、リスみたい。ちなみに今の、ボクとの関節キスだって分かってる?」
「!?」
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