第17章 ハジメテの痛み
「っ………!?」
ライトくんのキバが太ももを突き刺す。
「んんっ…んっ…」
「あっ、いや…っ」
「んっ…いつもと違う場所からの“キス”は…やっぱり味わいも…違うねえ?んっ…チュッ。この柔らかい肉…はぁ…そのまま食べたら…すごく、美味しいだろうな」
「っ………!」
「んふ。冗談さ」
「(っ…口元が…私の血で、真っ赤…)」
「でも…やっぱり…キミの血…どこかで…」
「え……?」
「まだ確証はないんだけどね。っと、いけない…傷口から血が滴り落ちてきた。ああ、足首まで垂れて…勿体ないな…っ…ん。」
「んっ……くっ……」
「んふ。お花ちゃん、舐められるのが好きなんだね……んんっ……いいよ。好きなだけ舐めてあげる。びっしょり汗ばむくらいにさ」
「いやっ……!!」
「ああ、甘い。やっぱり、お花ちゃんの血の味…嫌いじゃないな───さあ、もっと舐めてあげるから、ボクを誘ってよ、ね?」
「あ、んっ……い、や……っ」
「色っぽい声…。はぁ…そんな甘い声聞かされちゃうと…もっと悪戯したくなっちゃうよ。んふ。」
「きゃっ!ちょ、ちょっと…!」
チュッチュッと啄むように太ももにキスをし、くすぐったさを感じた私は縛られた手でスカートを押さえる。
「好きだよお花ちゃん。大好き。チュッ」
「っ!」
「マゾっ気があるキミも、こんな安い言葉で愛を感じちゃうキミも、ボクが苦手なのに流されちゃうキミも…全部、好きだよ」
「…嘘。やめてよ、ライトくん…」
「また泣いちゃうの?」
「泣いてない…」
「ボクは泣いてくれても構わないよ。そうしたらまた、キスをして止めてあげる」
「(心が揺らぐ。ライトくんの言葉を信じてはいけないと…分かっているのに。)」
『好きだよお花ちゃん。大好き。』
「っ…………」
ライトくんの言葉が…
ずっと耳に残ってる───。
◇◆◇
【キッチン】
「(友達には断られた。主に親御さんから…。もう、頼るところがない。諦めて…ここで生き延びるしか、ないのかな…)」
包丁を持ったまま、考え込む。
「……はぁ。」
「──包丁を握って溜め息をつくキミ…なんてシュールな絵面だろう」
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