第17章 ハジメテの痛み

発言に驚いて、ごくんっと呑み込んでしまった。



「か、関節キスって…！」



「だってそうでしょ？あーあ、お花ちゃん、ボクと関節キスしちゃったね」



「…なんで嬉しそうなのか分からない」



恥ずかしさで頬が紅潮した。



ﾊﾞﾀﾝｯ



「(玄関のドアが開いた音…？)」



「──この匂い…アイツか」



「アイツ…ライトく…んっ!?」



いきなり口を手で塞がれる。



「んーーーっ!!ん……!!」



「しーーー……」



「！」



「お花ちゃん、静かにしててよ。いい？ボクがいいよって言うまで、その口、閉じといてね。もし、口を開いたら二度と友達に会えなくしてやる」



「っ！」



そうして、キッチンのドアが開かれた。



「……なんだ、お前か」



「───んふ。叔父さん、お久しぶり」



「(っ……!?ライトくん達の叔父さん？この人が？でも、私の方を見ない…私に気付いてない？)」



「───匂うぞ。」



「……………」



「(やっぱり見えてないのかな、私のこと。これも…ヴァンパイアの力？)」



「ライト、お前…」



「なんですか、リヒター卿」



「──何か、隠してるな？」



リヒターと呼ばれた男はライトくんの肩を強めに掴んだ。



「っ……無礼ですよ、叔父さん。誰に向かって口を利いていると思っているんですか」



「答えろ。何を隠してる」



「んふ。なんのことを言っているのやら。叔父さんもモウロクされたのでは？キッチンですることと言ったら、ひとつしかないでしょう？もしかしてアレのことですか？」



「(アレ？って…!!あ、あんなところにいつの間にか…ネズミの死体が…)」



「ネズミ、だと？」



「んふ。ここにいると新鮮なエサがなかなか手に入らないものでねえ。とはいえ、東欧に帰ると目障りなハンター共が彷徨いてるし。空腹を紛らわすために、つい、ね？」



「空腹しのぎに雑魚を喰らうか。ハッ…兄に知られでもしてみろ。八つ裂きにされるぞ」



「んふ。父に知られたらマズイことをしているのは、貴方も同様でしょ。ボクは忘れてないよ」



「フン。まあいいだろう。ネズミということで見逃してやる。ところで教会から差し出された生贄が来たと聞いたが」



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