第16章 呪われた花嫁
【廊下】
「(兄弟仲が悪いなら揃って食事の真似事なんかする必要ないと思うんだけど…)」
『───食事の時間です。ライトを呼んで来て下さい』
レイジさんに言われ、ライトくんを呼びに部屋の前まで来た。ドアを控えめにノックする。
「──ライトくん!今日は晩餐の日だよ?」
呼び掛けるも、ドアを開ける様子はない。
「(まさか寝てる?って、起きたばっかりのはずだよね…)」
もう一度、ドアをノックする。
「──ライトくん?」
「…今日の晩餐には行かないよ。少し…忙しいからね…んっ」
「(……!?今、ヘンな声がした…)」
「──メグルさん?何をグズグズしているのですか?」
「……って言われても…どうしよう…」
遠くから聞こえたレイジさんに頭を悩ませる。でも連れて行かないとレイジさんがうるさそうだし…でもライトくんは晩餐には行かないって言うし。
「…いいや。諦めよ」
ライトくんを連れ出すなんて無理に決まってる。なんか怪しい雰囲気だし…早くここから立ち去ろう。
「──お花ちゃーん?どこに行くつもり?」
「え!?っ……きゃあっ!!」
何かにいきなり後ろから引っ張られ、力に抗えず、部屋の中にドサッと倒れ込んだ。
「っ…いった…な、何?」
「──ボクから逃げようったって、そうはいかないんだよ?」
「だ、からって…こんな乱暴なことしなくても…」
連れ込まれたのはライトくんの部屋だった。
「…一体、何やってるの?ライトくんが来ないとレイジさんが晩餐を始められないって…」
「ボクはね、今…お楽しみ中なの…なんだか分かる?」
「っ………!?」
「んふ。どうしたの、咄嗟に目を逸らして…もっと見てよ…」
「い、嫌!!」
ぐっと力強く腕を引っ張られ、そのままベッドに押し倒される。
「──見ろって言ってるだろ?ほら!」
「っ…って…そ、れは…?」
顔の前に突き出されたものに目を白黒させる。
「んふ。愛のクロスワードパズルだよ」
「お楽しみって…まさか、これ?か、からかったの!?」
「別にからかってなんかないよ。実際、ボクはウソなんかついてないでしょ?」
「それはそうだけど…」
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