第16章 呪われた花嫁
「(確かに出会った時から、ライトくんに好きって言われてる気がする。初めは揶揄って遊んでるだけかと思ったのに…彼は本当に私に一目惚れをしたらしい。)」
でも、簡単には受け入れられない
だってライトくんは…
呪いを解いてくれる『特別な者』じゃない
「(だから好意を向けられても…困る。私は絵本の女の子と男の子のような、お互いを想い合う愛のカタチが欲しい。)」
そして…私のことを本気で愛してくれる人と
この先もずっと、幸せでいたい
「(だからライトくんに惑わされるな。本気で好きなら、愛しているなら、私に酷い事したりしない。彼がそれも愛と呼ぶなら…私は彼の愛を認めることはできない。)」
「──無駄だよ、もう、お花ちゃんはボクから逃げられない。諦めなよ」
私はキッとライトくんを睨む。
「知ってる?蝶はね。藻掻けば藻掻くほどに、蜘蛛の巣に絡めとられていくんだから」
「っ………」
「愛してあげるから、大人しくしてなよ、ね?」
「(ライトくんの声が…甘く響く。)」
「好きだよ、お花ちゃん。キミに初めて会った、その日から───ずっと……。」
「っ………」
「だから…ボクを受け入れてよ。そうすれば、ボクも…お花ちゃんを受け入れてあげる」
私は呑まれそうになるのをぐっと堪え、目を瞑り、首を小さく振った。
「愛ごと、堕ちておいで───。」
ライトくんの言葉は
呪いみたいに聞こえた
「(堕ちて、おいで…?)」
ドクンッ
「(駄目…堕ちたくない。相手は魔族であり、ヴァンパイアだ。それにライトくんに堕とされたら…二度と逃げられなくなる。)」
いっそのこと、本気で彼を
×××しまえば…
私が抱える悩みも全て
解決するのだろうか───……?
「(私の呪いを一緒に解いてくれる相手がライトくんだったら…なんて、思うだけ無駄か。)」
ライトくんの中には
憎くて堪らない
愛しの"アノ人"がいる
「(それで私を好きって言うんだもんな。)」
そもそも私は
ライトくんのことなんて…愛してない
.