第16章 呪われた花嫁
「───分かるよ。だって、覚えがあるからね。殺したって足りないくらいの憎悪。胃の腑を焼き切るような…ね?」
「っ…ライト、くん?」
すごく、怒ってる…?
「お花ちゃん。愛というのはまるで、硝子みたいなものなんだ。熱を加えられればどんな形にでも変化する。何度でも、何度でも」
「…………」
「そして愛だったモノは、しまいにはまったく別のものに生まれ変わるんだ。その熱が高ければ高いほどにね」
「そ、れを…私の感情だと言うのならば…それは、間違いだよ。だって、私は…ライトくんなんか…」
「──愛してない?」
「前から言ってるでしょ。私はライトくんを好きにならないって」
「本当に?」
「…どうして私なの?他にもライトくん好みの女の子はたくさんいるでしょ?」
「お花ちゃんは、自分がどれほど魅力的で素敵な女の子か気付いてないんだね」
「え?」
「確かにキミ以外にも魅力的で素敵な女の子はボクの周りにたくさんいた。でもね、ボクはキミ以上に、魅力的で素敵な女の子には出逢ったことはなかったんだ」
「!」
「キミを初めて見た瞬間、他の女の子の声がパッと消えて、キミ以外、目に入らなくなった。それがキミに一目惚れをしたボクだよ」
「わ、私に…?」
「だからあの時、ボクはキミに声を掛けた。キミは心底嫌そうな顔をしてたけど…どうしてもボクに興味を持って欲しかったからね」
「……………」
「それからだよ。ボクの中でキミが一番素敵な女の子になったのは。他の女の子なんて霞んで見えちゃうくらい、ボクはキミに夢中なんだ」
「そ、そうやってデタラメばかり…」
「デタラメじゃないよ。現にキミと出逢った時から、ずっと言ってるじゃない。"好き"ってさ。…ね、好きだよ、お花ちゃん。」
「ライトくんのそういう言葉は信じない。好きとか可愛いって言えば、私が堕ちると思ってるんでしょ…」
「お花ちゃんを堕としたいのは本当だけど、キミが好きなのも本当だよ」
「し、信じないから…!」
「素っ気なくて素直じゃないお花ちゃんも可愛くて魅力的だから別にいいけどね」
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