第16章 呪われた花嫁
「(っ……!私のほう、チラッと見た…あれ、わざとやってる?)」
「──さ、おいでよ」
「うふふ……あ……!」
「(さ、最低……!!)」
ライトくんのああいうところ、ホント嫌い。わざと見せつけるように身体を密着させて、唇が触れ合いそうな距離まで顔を近づけて、女の人もライトくんの身体に手を回して…上目遣いでお互い見つめ合っちゃって。
私はその場から走って繁華街に出た。
「……っ……」
何やってるんだろ私…。別にライトくんが誰と何しようが…私には関係ないし。それに私は彼から逃げようとしてたんだよ?そうだ、逃げなくちゃ…。
「(友達もダメだった。きっと他の友達に掛けても同じだ。こうなったら、どこか遠くに…)」
「───お花ちゃん。」
「っ!?な、なんで…!?ライトくん?」
「やっほ。珍しいじゃない。こんなところをひとりで歩いてるなんて。さては…男漁りかな?」
「っ……!ライトくんじゃないんだよ!?」
「んふ。何怒ってるの、お花ちゃん。怖いよ?」
「──放して……!」
私の腕を引き寄せたライトくんから香水の匂いがした。
「つれないじゃない。もっと傍に来なよ」
「っ………」
「んふ。そんなに怒ってるのは、やっぱりヤキモチなの?」
「や、きもち?」
「だってキミがあそこまで怒るのって、あんまりないでしょ。ボクに妬いてくれた?」
「っ……!そんなわけないでしょ!?なんで私が……!」
「んふ。図星か。クス……」
「っ………!」
絶対、そんなんじゃないのに!
「──いいかい、お花ちゃん。これは罰なんだよ?」
「え?」
「ボクの元から、黙って去ろうとした、ね?」
「っ………!?」
急に血の気が引いた。
「ボクのことが、気になって、欲しくて、好きで、たまらないから。怖くなって逃げたくなったんだろ?」
「そんなこと……っ!」
「その証拠に、お花ちゃんはボクとさっきの幻の女の逢瀬にヤキモチを妬いた」
「(幻の女…!?じゃあ、さっきのは…)」
「本当は、腸が煮えくり返るくらいに、キミは今、苛立ってるはずだ」
「勝手に…決めつけないで!」
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