第16章 呪われた花嫁
「…携帯は奪われて連絡できないけど、友達の家に行って、新しい部屋が見つかるまで居候させてもらおう。うん…そうしよう!」
だとしたら善は急げ!
「──行かなくちゃ!」
◇◆◇
【路地裏】
「はぁはぁ…とりあえず、こっちの道から行けば近道になるよね…?」
友達に助けを求める為、近道である路地裏を通って向かおうとする。
ドクンッ
「っ……なんでこんなに怯えてるの。大丈夫だよ。私なら大丈夫。しっかりしないと…」
指先が震える。見つかったら非道い目に遭わされるって…思うだけで、心臓が壊れそう。
ドクンッ
「あ、公衆電話…!よかった!これで友達に連絡できる!」
急いで駆け寄り、受話器を手に取る。仲のいい友達ならきっと私の事情を受け入れてくれる。
プルルルル…
《───はい。》
「あ、あのっ!夜分遅くにすみません!私…娘さんと仲良くさせて頂いてます、兎月メグルと言います!」
《…こんな時間に何の用ですか?》
「い、いきなりで申し訳ありません。実は娘さんに用がありまして…代わって頂くことは可能でしょうか?」
《貴女、あの子の友達って言ったわね?こんな夜更けに迷惑な電話を掛けてくるのが、友達だって言うのかしら?》
「それは…」
《はぁ…あの子なら寝ています。こんな時間に掛けて来ないでちょうだい。分かったわね?》
「あ、あの!ちょ、ちょっと待……」
ブツッ…プープー
「っ……切れちゃった。はぁ…どうしよ」
受話器を戻す。
「──あっ……ダメ……そんなとこ……バカ……ここじゃ、やだって」
「っ………!?」
「いいじゃない。別に今更さ。愛し合えるなら、どこでだって構わないだろう?」
「ッ!!!ラ、ライトくん!?」
何やら色めきっぽいカップルがイチャコラしていると思えば、ライトくんだった。私がいるのに気付いていないのか。それとも…。
「(あの女の人、誰?)」
「えー…でもお。」
「ボクが欲しいんだろ?」
「フフッ。確かにそれはそうだけどお」
驚きを隠せず、じっと見てると、ライトくんがこっちを見た。
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