第16章 呪われた花嫁
得体の知れない飲み物を何の躊躇もなく、ライトくんは飲んだ。
「大丈夫なの…?」
「そう思うなら、お花ちゃんも飲めば?」
「いらない」
そんな怪しげな飲み物、絶対に飲まないほうがいいに決まってる。もし身体の中に悪影響を及ぼすものだったら…。
「えっ…!?」
急に立ったライトくんが残りの飲み物を自分の口に含み、こちらに近寄ってくる。驚いた私が身を引こうとすれば、頬を両手で包まれ、ライトくんに唇を塞がれた。
「んん!?」
「んー……っ……」
「(く、口移し…!)」
ごくんっと飲み込むも、ライトくんがキスを止めてくれる様子はなく、焦って目を見開き、引き離そうとする。
「んんー!?んぅ……ふ、んん……っ」
「んっ……チュッ……はぁ……んっ……」
「や、もう…はな、して…っ」
「んふっ…はぁ…結構…美味しいんじゃないのかな?」
「い、いきなり…非道い!」
唇が離れ、私はライトくんに文句を言う。
「んふ。だって、お花ちゃんも飲みたいって言うからさ」
「言ってないよ!」
「でも…キスはちゃんと、感じてたね?」
「っ〜〜〜!」
「顔が真っ赤だよ?」
「っ………」
なに、これ…
喉が焼け付くように熱い
胸も…苦しい…
「──ねえ、お花ちゃん、どんな気分?」
「(この、感じ…)」
「恥ずかしがってないで答えてよ」
「っ…なんか…気持ちいい…かも?」
「んふ。やっぱりそうだよね。この薬を飲めば、お花ちゃんもきっと素直になると思ったのさ」
「(私…何、言ってるんだろう。あぁ、だめだ…頭もボーッとして…ふわふわする。)」
身体がゆっくりと傾き、座席に横になる。
「んふ。お花ちゃん、随分と顔が紅いよ?」
「はぁ…なんだか、すごく、暑くて…」
「可哀想にねえ。汗もこんなに…ボクが…舐めてあげるよ…んっ…んんっ…」
「あ!んっ……!」
じゅるっと汗を舐められ、ビクッと身体が素直に反応してしまう。
いつもだったら気持ち悪くて仕方ないのに…今はまるで、羽でくすぐられてるみたいに。
「あっうぅ……」
「ふふ、気持ちよさそうだね、お花ちゃん…もっと、舐めてあげる」
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