第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「さっきまでの威勢はどうした?そんな強気な目で睨んだって怖くねぇんだよ。オレ様に散々遊ばれてカワイソーになぁ」
ククッと喉を鳴らしてアヤトくんが笑う。
「も…アヤトくん…なんて…」
「ハイハイ、嫌いなんだろ。知ってるっつの。は…っ」
「う…んんっ…痛い…」
「っはー。ふぁ…。腹いっぱいになったら眠くなって来たな…」
「きゃ…!な、何するの…!?」
私ごと抱えるとアヤトくんはそのまま寝転がる。
「ナニって、寝んだろーが」
「ど、どうして私を抱きかかえるの!?」
「抱き心地がいいから。つーか近くでデカい声出すんじゃねーよ。うるせえ…」
「(アヤトくん…本気で私を後ろから抱きしめたまま寝る気…?)」
「つうか、オマエが目ぇ覚ますまでもずーっとこうしてたんだぜ?」
「(それで体が動かなかったのか…)」
「オレ様が抱きしめてやってんだ。光栄に思えよ、地味子」
「頼んでもないよ…」
「……………」
「痛い痛い!!嘘ですごめんなさい!!噛まないでお願い痛い…!!」
素っ気なく言えば、その言葉に怒りマークを浮かべたアヤトくんがガブッと思いきり後ろ首に噛み付いた。
「うぅ…アヤトくんは冗談が通じない」
「ぜってー冗談じゃなかったろ。地味子のくせにマジで生意気で腹立つ。また泣かせてやってもいいんだぜ?」
「激しく拒否…!!」
「ならもう黙れ」
「アヤトくん…もう食事終わったんだよね?私、自分の部屋に戻りたいんだけど…」
「ダメに決まってんだろうが。オレは血の余韻を味わいてぇんだよ。…はぁ。首元からまだ血が流れてるたまんねぇな、この匂い…」
「(完全にアヤトくんの餌兼所有物…)」
「もう一口…ん…」
「あ…ちょ、ちょっとアヤトくん…!」
「はぁ…っ」
「っ…………」
「…ん…」
「(さっきよりは痛くないけど…)」
「……………」
「(ん…?)」
すぐ後ろから静かな寝息が聞こえてきた。
「アヤトくん…?」
「……………」
「アヤトくん、寝てるの…?」
「……………」
「(ね、寝てる…。なんとか起こさず抜け出せないかな?そーっと…ゆっくり…)」
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