第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「ククッ、安心しろよ。寝てるあいだに食うなんて、つまんねーことしねぇからさ」
「や……っ!」
「そーそー、ソノ顔。そーゆう顔見ながら食事すんのが一番楽しいんだ…」
「さっきあんなに吸ったじゃない!」
「あんなので満足するはずねぇだろうが」
「もう吸うの禁止!」
「オレ様に全身の血を吸い尽くされんじゃねーかってビビってんだろ?」
「ビ、ビビってないし…!!」
「声裏返ってんぜ」
「とにかくダメだから!」
「ククッ、イイ表情すんじゃねぇか。あー、でもやっぱこんな中じゃ見づれーな。……っと」
「(わ、眩しい…!)」
アイアンメイデンの扉が開く。
「…これでオマエの表情がよーく見えるようになったぜ」
「………っ!は、放して……!」
「放してだぁ?餌がナニ言っちゃってんの?オレ様が今から食事するっつってんだ。大人しく食われろよ」
「嫌に決まってるでしょ!!」
「はぁ?なんで?」
「噛みつかれると痛いの!」
「ふぅん。じゃあ…思いきり強く噛んでやるよ」
「何でそうなる!?痛いって言ってるのに強く噛もうとしないでよ!!」
「あー!マジでうるせえな!いいからとっとと吸わせろ!」
「やだって言っ……」
「ん……」
「痛い…!アヤトくん痛い…!!」
「…………っ」
「ねぇアヤトくんってば…!!」
「……っ……はぁっ。やっぱうめぇわ、オマエの血。しかも泣くともっと甘くなった。あーでも、チチナシの血の方がまだ美味いな」
「勝手に吸っておいてユイちゃんと比べないでくれる!?」
「……………」
ムギュッ
「痛ッ」
何故かアヤトくんに頬を摘まれた。
「勝手じゃねえよ。オマエから誘ってきたんだろ。こんなに甘い匂いさせておいてさ」
「摘まないで…」
「涙目になってやんの」
「酷い…血は吸うし頬は摘むし、アヤトくんは色々と酷すぎる」
「ナニが酷いんだよ?オレは食事をしただけだぜ?空腹のヤツにおあずけ食わせる方がよっぽどひでぇだろーが。それと摘んだのはオマエがオレに反抗するからだ」
「……っ……」
.