第15章 生きる意味
『そうだ、少し大人の話をしようか』
『大人のお話?』
『天界には神様が作った掟があるんだ。一つは【天界から出てはいけない】。』
『どうして出ちゃダメなの?』
『天界から出たら神様の加護は失われる。だから悪いモノを呼び寄せてしまう。そうなったら天使にとって最悪な状態でね、身体がおかしくなってしまうんだよ』
『でも母様はお仕事で天界の外に出たりしてるのに、どうして平気なの?』
『四大天使は神様の加護に加えて、自分の加護にも護られているから、悪いモノを身体に取り込んだくらいじゃ死にはしないんだ』
『そうなんだ〜!』
『あとは天使の血を守る為でもあるな。甘い香りを纏わせる天使の血は魔族にとってのご馳走になる。だから天使の血を狙う者がたくさんいる。そういう事態を防ぐために天界から出てはいけないんだ』
『私達の血ってそんなに特別なんだね…』
『そうだな』
『他にも掟があるの?』
『あぁ。二つ目に【魔族と関わってはいけない】。本来天使は魔族と関わったり、繋がりを持つ事を禁じられている。それは今言った通り、天使の血が関係しているからだ』
ミカエルは少女を抱き締めたまま、綺麗な顔を憎しみで歪め、忌々しそうに話す。
『奴らが天使の血の味に食いつけば、必ず執着する。特にヴァンパイア…あの種族は危険だ。穢らわしい悪魔の血が私達の身体の中に流れ込んでしまえば、正気ではいられなくなる』
『(母様…また怖い顔…)』
『だから関わってはいけないし、繋がってもいけないよ。まぁお前はずっと天界にいるんだし、心配する必要はないが…運命というのはどこで歯車が狂うか分かったものじゃないからな』
『色々掟があるんだねぇ。でもそれって、神様が私達のことを守るために作ったってことだよね?』
『そうだ。神様は私達のことをとても大切に思って下さり、いつも見守って下さっている』
『やっぱり優しいね神様!』
『でも掟の中でもコレだけは絶対に破ってはいけないんだ。最後の三つ目が…【魔族と恋に落ちてはいけない】。この掟を破ってしまえば…二度と天界に帰って来られないからな』
『そうなの?魔族と恋しちゃダメなの?』
少女はキョトンとした顔でミカエルを見上げて不思議そうに尋ねた。
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