第15章 生きる意味
『魔族と天使が恋仲になるなど前代未聞。例えそこに愛が存在しても幸せにはなれない。その前に私達が許さない。きっと神様だって。』
『魔族ってそんなに悪い人たちなんだね…』
『そうだ。悪魔のように酷い奴らだ。だからお前も掟は絶対に破ってはいけないよ。此処にいる限り、お前は幸せなのだから』
優しい笑みで少女の頭を撫でるミカエル。そして話題を変えるため、ミカエルは先程まで少女が読んでいた絵本に目を向ける。
『あの絵本は面白いか?』
『うん!』
『どういう内容なんだ?』
『ちょっと待って!』
少女は膝から下りるとテーブルに置いてある絵本を手にし、再びミカエルの膝に乗った。
『意地悪な魔法使いさんに呪いを掛けられた女の子が、一人の男の子と出逢って、呪いを解くために一緒に旅に出るの!』
『呪い?』
『魔法使いさんの一番欲しい物が手に入らなかったから、代わりに女の子を呪っちゃったんだって』
『(子供向けにしては随分重い内容だな…)』
『でもね!最後はちゃんと呪いが解かれて、女の子と男の子は幸せになるんだよ!』
最後のページを開くと、そこにはお互いの手を取り合い、嬉しそうに笑っている少女と少年の絵が描かれていた。
『二人は両想いなの!』
『どうして両想いだと分かるんだ?』
『だってお互いに好きじゃなかったら、女の子の呪いは解けないはずだもん。それにこれは幸せの物語なの。二人が幸せだからこの絵本はハッピーエンドで終わるんだよ!』
『…そうだな。お互いのことが好きだからずっと一緒にいることができた。そこに愛がなければ旅は途中で終わっていて、女の子の呪いは解けずに今でも苦しんでいたかもしれない』
『愛があったから二人は頑張れたの?』
『あぁ』
ニコリと笑うラファエルの言葉に興味を持った少女はキラキラとした眼差しを向ける。
『私も愛がほしい!』
『え?』
『この絵本の二人みたいな愛がいいな!いつか素敵な男の子と出逢って幸せになる!そしてずっと一緒にいるの!』
『きっと出逢えるさ。でも呪いなんてものには掛からず、普通に愛を知って、運命の相手といつまでも幸せでいてくれ』
『うん!』
少女は満面の笑みで返事を返した。
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