第15章 生きる意味
「(息が…できない…!!)」
「大丈夫ー?お花ちゃん!?」
「(胸が痛くて苦しい…っ、呪いなんか大嫌い…っ)」
「んふ。息ができないのか…仕方ないね。息ができるように、おまじないをしてあげるよ───こうやって。チュ。」
「んんっ……!?」
「んっ……ん……んふ……っ」
「(っ…長いよ…い、息が…)」
「っ……んんんっ……」
「んん…んーっ…!!はっ…!!はぁ、はぁ……」
長いキスから解放され、思いきり空気を肺に取り込む。
「んふ。おまじない、効いたでしょ?」
「はぁ…おまじない、なんて…非道い…窒息する…ところだった」
「ふふ。いっそ死んじゃえば楽になれたんじゃないの?」
「馬鹿言わないで…」
「んふ。やっぱり、弱い生き物って…無様で惨めったらしい姿を晒してでも、生きていたいものなのかな」
「それは、当たり前、だよ」
「ふーん。なんのために?」
「え?」
「キミはなんのために生きたいの?」
「知りたい、から…」
「知る?何を?」
"呪いを解いてくれる相手を"
"運命の人から与えられる愛を"
"幸せになるための方法を"
「(そんな夢見がちなこと言ったら、確実に馬鹿にされる…)」
「んふ。答えられないの?」
「……………」
「そっか。それじゃあ…分かったよ。ボクが生きる意味を…与えてあげる」
「え?」
「──ボクの目を見なよ。」
「目……?」
「逸らすなよ?真っ直ぐに…真っ直ぐに、ボクを見ろ」
「っ…………」
「そう…イイ子だよ…言われるがままになるキミは…どんな女よりもキュートだね」
「(綺麗な緑色の瞳…。)」
でもその瞳の奥に隠された熱に、ぞわりとし、目を逸らしてしまう。
「逸らすなって言っただろ」
「!?」
「ちゃんとボクを見ろよ。」
顎を掴まれ、強制的にライトくんの顔を見つめることになる。
「キミはボクだけを見てればいい」
「っ…………」
「───拒否はできない。お前はもうこの屋敷に足を踏み入れてしまったんだから。もし、この間みたいにここから抜け出そうとするならば…次は殺すからね?」
.