第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「お願いだからやめて…」
「やめられっかよ。…は…っ」
「あ、んっ!や、いった…」
「今の声すげーそそる。へぇ…そんな声も出せんだな。んっ…」
「(アヤトくんの声が楽しそう…。こっちは凄く痛くて涙まで出てるのに…何がそんなに楽しいの。)」
「悔しいかよ。オレ様に吸われて」
「当たり前、でしょ…っ」
「ハッ、ザマーミロ」
本気で悔しくてアヤトくんを睨み付ける。
「はぁ…っ…ククッ、いいねオマエ。その強気な目、気に入った。もうオレから逃げられねぇぜ?学校でも家でもたくさん血吸っていじめ倒してやるよ。覚悟しな」
「(意識が…)」
まるで新しい玩具を手に入れた子供のように無邪気で、そして、残酷な笑みを浮かべるアヤトくんに私は恐怖を感じた。
◇◆◇
あれからアヤトくんに血を吸われ続けた私は意識を手放した。
「ん……」
あれ…?
なんだか体が重い…
金縛りにあったように動かない…?
「…クク。」
「(え…?この笑い声…)」
「…よお。目ぇ覚めたかよ?」
「…え!?あ、アヤトく…っ」
ゴチンッ
「痛っ…!」
な、何?天井が低い…
っていうか、私今どこにいるの!?
「ククッ、ナニやってんの、オマエ?」
「あ、アヤトくん…どうしてここに…って言うか、ここって…」
「オレ様の寝床だ」
「寝床…まさか棺桶!?」
「ふん、そこらのヴァンパイアと一緒にすんじゃねぇよ。オレ様の寝床は棺桶なんかじゃねぇ。アイアンメイデンだ」
「アイアンメイデンって…拷問器具の?」
「おぉ、知ってんじゃねぇか。それだそれ!ま、さすがにトゲは取っ払ってあるけどな」
「(私、拷問器具の中に閉じ込められてる…!?)」
「わずかにこびり付いた血の臭いがして…最高だろ?」
「え……!?」
さっきから鉄の匂いがすると思ってたけど…
まさか……
「なんてトコに閉じ込めてんの!?早くここから出して!」
「光栄に思えよ?あの後気絶したオマエをわざわざ運んでやったんだ」
「どうしてこんなこと…」
「決まってんだろ?腹が減ったからだよ」
「っ…………!」
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