第15章 生きる意味
「ふぅ、やれやれ…お花ちゃんもまだまだだなあ。でも…あと一押しって…ところ、かな?フフフフ…」
まともに相手にしちゃいけないのは分かっているのに、ついつい普通の人に接するように振舞ってしまう。
彼にとって私はただのエサであり玩具。籠の中の鳥は逃げられないのだ。今後もああやって弄ばれることは覚悟しておかないと。
それにしても、兄弟同士の仲が悪いというのには、少し驚いた。他の人たちは見ていれば分かったけれど、まさかこの三人まで仲が悪かったなんて…。
端から見ている限りではむしろ仲睦まじく見えたのに。いや、仲は良くない…かも。学校で三つ子を見かけるが、いつもひとりだ。アヤトくんもカナトくんもライトくんも。三つ子が仲良くしているところなんて…見たことがない。
同じ血を分けた兄弟なのに。
「(なんか…悲しいな。)」
そう思うも、やっぱりヴァンパイアと関わるとロクな目に遭わないと心底嫌気が差した。
◇◆◇
『──ライト…ライト…』
『……ん……?……どうかしたの?』
『お願いがあるの。足りないのよ。あんなんじゃ。貴方ならできるでしょ、ライト。』
『貴女って人は…それでまたボクのところに来たの?』
『フフフ。そうよ、ライト。さあ、早く』
胸元に薔薇を挿した女性が妖艶な声でライトをベッドに誘い込む。
『…仕方ないね。ボクが、愛してあげる』
『ああ、可愛いライト。愛してる、愛してるわ…』
ベッドの軋む音が聞こえた。
『ボクになら…できるんでしょ?』
『そうよ。ライト。さあ…早く…』
◇◆◇
【ライトの部屋】
「──っ……!?夢……?ボクが夢を見るなんて…しかも、あんな…。っ………」
ライトは顔を歪ませる。その時、ノック音が聞こえた。
「誰……?」
「っ…私です。メグルです。」
「なんだ…お花ちゃん、キミか。はぁ……開いてるよ」
キィィッとドアが開く。
「……………」
「なんだよ。こんな明け方にボクの部屋に来るなんて」
「…うめき声が…聞こえてきたから、少し気になっただけで…」
「ボクの…?やれやれ…このボクが夢にうなされるなんてね。滑稽だと思わない?」
「夢に、うなされる?」
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