第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「あー、腹減った。オマエがさっさと帰って来ねぇからだぜ!」
「わっ!?」
「軽すぎんだろ。ちゃんと食ってんのか?」
「放して!」
「放すわけねえだろ」
机の上に乗せられたかと思えば、顎を掴まれ、顔を横に向かせられる。
「ククッ、牙のない、キレーな肌だな、おい。特にこの白い首筋…」
「っ………!」
「オレが最初ってわけだ。はぁ、家まで我慢できねぇや。…ここで食ってやるよ」
「く、食うって…」
「決まってんだろ?」
「や、やめ…」
「こうするんだよっ…ん…っ」
ガタッ
押し倒された私はアヤトくんに首筋を噛まれた。皮膚が牙を貫通する痛みに顔をしかめる。
「や…!痛っ、や、やめて…!」
「…………っ」
「(噛まれてる首筋が…熱い。)」
覆い被さるように押さえ付けられている為、身動きが取れず、ただ痛みに耐えるしかなかった。
「(魔族の…アヤトくんの血が…触れただけで身体の中に入ってくる感覚がする。)」
ドクンッ
「っ…………」
魔族の血を取り込んだからか、心臓が大きく鼓動を繰り返し、胸が苦しくなる。
「…はぁ、うめぇ…なんだよこれ…っ。チチナシといい勝負してんだろ。はぁ…っ…」
「い、痛いよ…アヤトくん…!」
「マジでなんだこれ…まるで果実みてぇな甘さ。はっ…ん…っ…」
「は、放して…!」
「んっ…おっと」
「あっ、いったぁ…っ!」
「ん…。バッカじゃねぇの、オマエ?この状況で動いたら、余計痛ぇの分かんだろーが」
「(痛い…痛くて熱い。もうやだ…何で私がこんな目に…)」
じわりと涙が浮かんで、ポロポロと溢れる。
「…ククッ、なんだ泣いてんのかよ?」
「もう…やめて。吸わないで…怖い」
「やめるわけねーだろ、こんな美味いのに。オマエこんな血持ってんならさっさと言えよ」
「アヤトくん…放して…」
「その泣き顔も、痛みに歪む顔も…最高にそそるな。あー…もっと甘くなりゃいいのに」
「ひっ…っ…ほ、んとに痛い…っ!」
「ククッ、これから食事がますます楽しみになんな」
「アヤトくん…ひっく…アヤトくん…」
「そんなに何度も呼ぶんじゃねえよ」
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