第15章 生きる意味

「あぁそれとも今日の下着の色を当てようか。ボクにはね、分かるんだよ。毎日お花ちゃんが履いてる下着。ちなみに今日は水色の───……」



「っ…何でそこまで知って…」



「やだなあ。好きな子の事は何でも知りたいに決まってるじゃない」



「悪いけど、ライトくんのそういう言葉は信じないようにしてるの」



「つれないなー。でもそういう強気で素っ気ない態度、嫌いじゃないよ」



「(さっき、"何でも知ってる"って言ったけど…ライトくんはどこまで知ってるの？)」



私の中で不安が広がる。



「ところで…どうしてお花ちゃんは、家族より友達に電話を掛けたの？」



「え？」



「助けを求める為に掛けたのは友達だったでしょ。でも普通は親に連絡するんじゃないの？」



「…親には、連絡できないから」



「へえ？それはまた…どうして？」



「遠いところにいるの」



先程から刺さるライトくんの視線に居心地の悪さを感じ、言葉を詰まらせてしまう。



「ふーん…お花ちゃんってさ、どこから来たの？」



「どこからって…」



「最初から神無町に住んでたわけじゃないよね？」



「っ…ど、どうして…」



「ボクらの情報網を甘く見ないでよ。それくらいは造作もないことさ」



「遠いところ…」



「外国とか？」



「……………」



「ふふ、お花ちゃん。黙ってちゃ分からないよ。ボクが質問してるんだからちゃんと答えてくれないと」



「ライトくんが知らない場所だよ」



「本当に？」



疑いの眼差しを向けられ、私はぐっと顔をしかめる。



「ただの人間にそこまで拘る理由は何？あまり深入りしてこないで」



「"ただの人間"ね」



「…なに？」



「ううん。なんでもないよ。キミがボクも知らない場所から来たんだとしたら、一体どこかなって考えただけだから」



「(それにしては、気になる言い方…)」



「いいんだよ。哀れな子羊は盲目であれ、とカミサマは言っていらっしゃるのさ」



「何を…知ってるの？」



「んふ。その件に関しては、ボクなんかより、レイジあたりが詳しいかもよ？」



「レイジさんが？」



「とにかく、ボクには興味のないことさ。人間と悪魔の取引なんて、あの人に任せておけばいい」



.