第2章 悪戯好きのトラブルメーカー(√)
「(帰る気分にはなれないな…。)」
まさかアヤトくん達がヴァンパイアなんて…
「(魔族と関わっちゃダメなのに、アヤトくんは私の血を吸う気満々だし…)」
こんなことになるならユイちゃんの忘れ物を届けに行かなければ良かった…と彼女には悪いがほんの少し後悔した。
「はぁ…これからどうなっちゃうの…?」
バチンッ
「え…!?な、何!?」
突然、教室が真っ暗になってしまった。
「(停電!?)」
パチンッ
「(あ、付いた。何だったの?)」
「おい。」
「きゃぁああっ!!」
「っ!チッ、でけぇ声出すんじゃねぇよ」
「あ…アヤトくん!」
「こんな時間まで何してたんだよ」
「え?えっと…」
「つーかオマエ、何でオレ様と同じ教室じゃねーんだよ。いちいち迎えに来るの面倒だろうが」
「そんなこと私に言われても…。って、え?迎え…?」
「おう。このアヤト様が迎えに来てやったんだ。ぐずぐずしてねぇでさっさと帰んぞ」
「わざわざ迎えに来なくても…」
「あぁ?せっかくオレ様が来てやったのに嬉しくねーのかよ。地味子のくせに!」
バチンッ
「痛ッ!?」
い、いきなりデコピン!?
「もう何するのアヤトくん!!」
「ハッ!オレ様に逆らったりするからだ」
「(うぅ…おでこが痛い。)」
涙目になりながらデコピンされたおでこを擦る。すると机の上に少しだけ体重を乗せて座っているアヤトくんがこちらを見ている気がして、恐る恐る顔を上げた。
「な、何…?」
「いや?美味そうだなぁと思って。今までよく誰にも食われなかったな、オマエ」
「は?え…美味しそうって…」
「オマエ、オレを選んだだろ?」
「う、うん…」
「なら今日からオマエは、オレ様の餌ってことだ。チチナシの血を吸えない時はオマエから血を貰うことにするぜ」
「(ユイちゃんの血も吸ってるの!?)」
「おら、とっとと立て」
机から下りたアヤトくんが私の腕を引っ張って強引に立たせる。その時、嫌な予感がした。相変わらずアヤトくんの手は冷たい。
「ア…アヤトくん…?」
怯えきった私を見てアヤトくんはニヤリと笑った。
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