第14章 愛しの"アノ人"
「何でそこで黙るのかな」
「ライトくんが私を好きになる理由が分からないから。それに…もしその気持ちが本物でも、私はライトくんの気持ちには答えられない」
「んふ…お花ちゃんは残酷な事を言うね。ちなみにキミを好きになる理由はちゃんとあるんだよ?」
「…何?」
「知りたかったら、ボクを好きになって。お花ちゃんを揶揄うのは、いつだって愛情の裏返しなんだよ。これもちゃんとした愛でしょ?」
「…そういう返し方はズルい。私がライトくんを好きにならないってライトくん自身が一番分かってるでしょ?」
「でもボクは本気でお花ちゃんのこと好きなんだけどなぁ。んー…好きな子に振り向いてもらえないって難しいね。どうしたらキミはボクを好きになって、ボクのこの想いが本気だって認めてくれるのかな?」
「私に聞かれても…」
「好きだよ、お花ちゃん」
「…私は好きじゃないよ」
ふいっと顔を逸らす。
「ねぇお花ちゃん、ボクは思うんだ。今はボクが苦手でも、こうして関わっていくうちに、キミはボクに絆されて、ボクを好きになるんじゃないかってさ」
「何それ…絶対にならないよ!」
「断言したっていい。キミは必ずボクを好きになる。楽しみだな、ボクに堕とされたキミはどんな風にボクを愛してくれるんだろうね」
「だから好きにならないってば!それにライトくんに堕ちるとか絶対にないから!」
随分と自信満々に言ったライトくんに苛立ち、ムキになって、ふいっと顔を逸らす。
「あーあ…怒らせちゃったかな。ところでお花ちゃん、ここって…すごく蒸さない?」
「え?それは火を使ってたせいじゃない?確かに少し暑い気はするけど…それがどうかした?」
「んふふ、なんでもないよ。ねえ、暑いなら…脱いじゃおうよ?」
「!」
「裸になればいいんじゃない?あ、でも、エプロンは残しておいた方がいいかもねえ」
「それって…まさかの裸エプロン!?」
「あっは!それそれ。お花ちゃんの裸エプロン、どうしても見てみたくって…きっとすごくえっちな格好なんだろうな」
「だ…だから!そういうこと言うのやめてってば!というかやだよ…!!」
「さ、お花ちゃん。脱ぎ脱ぎしよう」
ライトくんがエプロンに手を伸ばす。
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