第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
「…おい、そこで何してやがる」
「!」
「あ。アヤトくん、おっはよ〜。遅いお目覚めだねぇ」
「暢気に挨拶してんじゃねぇ!ふたりして何してたんだ…!?」
「んふ、別に?なーんにもしてないよ?ねー、お花ちゃん?」
「あの、アヤトくん…」
「……っ……」
「大体、アヤトくんこそどうしたの?あんなにお花ちゃんのこと無視して避けてたのに。今さらそんな風に執着しちゃって、やっぱり惜しくなっちゃったのかなぁ?」
「っ…そんなんじゃねぇ!オレは、ただ…!」
「ふーん。じゃあ、もう別にこの子にはこだわってないってこと?ふたりの仲はもうこれで…ジ・エンドなのかなぁ?」
「……っ!おい!!」
ライトくんの挑発的な言葉にアヤトくんが怒る。
「んー、でもそうだねぇ」
「あっ……!!」
ライトくんが私を引き寄せ、薬指に触れる。
「お花ちゃんの指の傷痕も、もう消えかけてるみたいだしちょうどいいかもね?ねーえ、お花ちゃん。このままボクのモノになろうよ」
「だ…だから!何度も断ってるでしょ!?」
傷が消えたら…指輪が消えたら私とアヤトくんの関係も終わり?……そんなの、嫌……!
「放して……!!」
ドンッとライトくんを突き飛ばす。
「おっと……!」
「っ……おい、地味子!?」
「っ………!!」
傷が消えるくらいなら…自分で…!
薬指を口に含み、強く噛んだ。
「あーらら…これは予想外だね。お花ちゃんが自分で自分の指を噛むなんて!」
「チッ……!!」
ぐいっとアヤトくんに手を掴まれる。
「バカか、オマエ!何やってんだよ!?」
「ッ……き、消えてない。」
「はぁ!?」
「消えてなんか、ない」
「なに言ってんだよ、オマエ……?」
「指の傷、消えてないよ…。この傷がある限り、私はこれからもずっとアヤトくんのもので…アヤトくんはこれからもずっと私のものなんだから」
じわりと滲む視界のまま、アヤトくんに目を向ける。
「…そうでしょう?」
「……オマエ……」
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