第12章 誤解とすれ違いの誕生日(‪‪❤︎‬)

「こんな時間にこんなところで、どうしたのさ？んふ。」



今ライトくんと話してる時間は…



「ど、どうもしないよ。私はアヤトくんに用事が…」



「ちょーっと待った。お花ちゃん、その手に持ってる箱はなあに？」



「……っ、これは……」



「ボクが中身、当ててあげようか？……ケーキ、でしょ？」



「！」



「アヤトくんの誕生日に作った、ってところかな？でもさー…ふたりとも今絶賛ケンカ中でしょ？」



「(バレてる……)」



「アヤトくん、受け取ってくれるかなぁ…？ねえ、お花ちゃん？」



「…………っ！」



「あ、そうだ！そのケーキ無駄にするくらいならボクがもらってあげるよ。ほら、ボクの誕生日も近いしね。問題ないと思うんだ。……ね、いいでしょ？」



ドンッ



「きゃっ……!?」



コツコツと靴音を鳴らして近付き、私の後ろにある壁にドンッと手をつく。



「ケンカ中で貰ってくれるかもわからないアヤトくんより…ボクのほうがずっといいでしょ？ボクなら、キミの寂しさも分かってあげられるしね…？」



「ライトくん、やめて…」



「一人で出かけたくらいでケンカになっちゃって、お花ちゃん寂しいでしょ？新婚さんなのにね…？」



「それは…私も悪かった、から…」



「でも、許してくれてないじゃない。女のコの気持ちがわからないアヤトくんなんかやめて、ボクにしなよ」



「それも…冗談…」



「本気だって言ったらお花ちゃんはボクに素直に慰められてくれる？」



「っ…ライトくん！やめてってば！」



ドンッとライトくんを押すと持っていたケーキの箱を床に落としてしまう。



「おっと…あーあ、お花ちゃんが無理矢理ボクのこと押すから…せっかくのケーキが台無しだよ？」



「ライトくんのせいでしょ…」



恐らく、箱の中のケーキは崩れてしまっている。私は顔をしかめた。



「…私、約束したの。ずっとアヤトくんだけのものでいるって。アヤトくんも…私だけのものでいるって、約束してくれた」



「へーえ…約束か…美しいねぇ」



「だから私は……」



.