第1章 PROLOGUE-はじまり-
「ムカツク…ご馳走を目の前にしてその食卓がメチャクチャにされた気分…どうしてくれるんですか?」
「人間の私の血なんかご馳走になるわけないでしょ!?」
「はぁ…面倒くせえ。だから、人間は俺たちにとっちゃご馳走なんだ。舐めてんのか?」
「ほんとバッカだな、オマエ。」
「別のご馳走探してよ!」
怖くて涙が溢れそうだ。
「オマエを味見したらな」
「(ほんと無理!)」
「ねぇ、お花ちゃん。本当にここで暮らす気はないの?ボクらと一緒じゃいや?」
「ヴァンパイアと一緒には暮らせない」
「うーん。それはちょっと悲しいかな。君にボクらの存在を否定されるなんて。お花ちゃん、やっぱり君には、是が非でもここでボクらと一緒に暮らしてもらわなきゃ。その為には──こうするしかないんじゃない?」
「や…やだライトくん!」
「本当だ。微かに甘い匂いがする。ビッチちゃんとは甘さが違うのかな」
「(今度はライトくんのキバが…!)」
「いっただっきまーす…んふ!」
口を開けたライトくんのキバが皮膚に当たり、噛もうとする。
「っ、待って!本当に待って!!お願いだから離れて!!ライトくん!!」
「ヤダ。」
「ヤダって…わ、私の血はそんなホイホイやれるものじゃない!!全員に吸われるとか無理!!」
「じゃあ誰か一人だったらいいんだね?」
「そんなこと言ってな…」
「…へぇ。一人ならオマエの血をどれだけ吸ってもいいのか」
「だから誰も血をあげるなんて言ってな…」
「決まりだな」
「ちょっと!?何も決まってないよ!!」
私の話を無視して、勝手に話が進んでいく。
「気に入りませんねえ。貴女がどれほどの血をお持ちなのかは知りませんが…まるで高級娼婦気取りではないですか」
「(聞くに絶えない言葉…!)」
「くっだらねえ。いいんじゃねえの?選びたきゃ選ばせれば」
「お!珍しくスバルがやる気じゃねーか」
「フン」
「フッ、そうですね。なかなかに躾がいがありそうな女は彼女以来です」
「ちょっと…勝手に決めないでよ。私まだこの家で暮らすなんて言ってないし、それに血を誰か一人にあげるとも言ってな…」
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