第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
【屋敷】
「おっと、お喋りしてる間に家にとうちゃーく。ボクは出かける用があるから、ここで退散するよ」
「あ…荷物持ってくれてありがとうライトくん。凄く助かった。お礼は今度…」
「今度?今欲しいなぁ……ちゅっ」
「っ!?」
不意打ちで頬にキスをされる。
「ラ、ライトくん…!」
「これで十分。御馳走様でした!んじゃ、またね?」
ライトくんと別れた後、私は屋敷に戻る。扉を開けて中に入ると…
「……よう。……やっと帰ってきやがったか」
「っ!!」
そこには待ち伏せしていたかのように、アヤトくんがいた。
「(び、びっくりした…!アヤトくん、起きてたんだ。)」
ドッドッと逸る胸に手を当てる。
「おい、地味子…。テメェ、今まで…どこほっつき歩いてたんだよ」
「え……?」
「オレの前から勝手にいなくなるとはいい度胸だなァ?」
「(な、何か怒ってる…?)」
「しかもなんだ。随分と楽しそうじゃねぇか。浮かれた顔してるぜ…?」
「(アヤトくんに見つかっちゃうなんて…)」
「言えよ。どこに行ってた?あ?」
「そ、それは……」
「……………」
返事を濁す私に苛立ったアヤトくんがドンッと扉に手を付いて私を怖い顔で見下ろす。
「わざわざオレが寝てる隙を狙って、何時間もどこで何してたって聞いてんだよ!」
「(アヤトくん、すごく怒ってる…。でもここで正直に言っちゃったらせっかくのサプライズが…)」
「……オレには言えねぇようなことなのかよ。クソッ…。」
「(違うよって言いたいのに…)」
「オレが寝てるのをいいことに、他のヤツに血ィ吸わせにでも行ってたのか?あぁ!?」
「っ!違うよ!!」
「ハッ…そこは否定すんだな。なら、オレがオマエの身体を隅々まで調べてやるよ。違うってんなら、別に困んねぇだろ?」
ぐっと近付き、顔が触れ合う距離にアヤトくんが迫る。
「ア、アヤトくん…!」
「……ん?ライトの匂い…?」
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