第12章 誤解とすれ違いの誕生日(❤︎)
「それはそうと、今日は昼から出かけたんだね?」
「うん。夜だとどうしてもお店が限られちゃうし」
「ひとりでのショッピングも、たまにはいいでしょ?」
「そ、うだね…夜だと大抵、アヤトくんが一緒だし」
「アヤトくん、お花ちゃんに夢中だからさ。んふっ」
「そうかな…?そういう風に見える?」
「見えるよ。嫌でも見えちゃう。ボクが興奮しちゃうくらいに、キミ達は仲良しだもの」
「茶化さないで…」
「茶化してなんかないよ。事実でしょ」
「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい」
「どういたしまして!……ねえお花ちゃん、……今、幸せ?」
「またそれ聞くの?」
「んふっ……幸せに決まってるよねぇ?」
「…ライトくん?」
「ねぇ、お花ちゃん。」
「な、何……?」
「やっぱりボクに乗り換える気、ない?」
「!」
「……………」
真剣な表情のライトくんに同じ質問をされ、私は戸惑ってしまう。
「ど…どうしたの?ライトくん。」
「んー、お花ちゃんがアヤトくんと仲良しなのがちょーっと寂しくてねぇ。」
「……………」
「あ、どうしたらいいのか戸惑ってる顔だ。ほーんと分かりやすいよねーお花ちゃん♪」
「…それは、いつもの冗談?私をからかって遊んでるだけ?」
「さぁてね。お花ちゃんはどっちだと思う?ボクの気持ち。」
「…もし冗談でも本気でも、ライトくんの気持ちには答えられない、かな。私は……」
「アヤトくんが好きだから、でしょ?」
「うん……」
ライトくんは本気で私を好きなのだろうか。冗談にしては、さっきの真剣な表情が気になる。でも…私は既にアヤトくんに堕ちている。心変わりなんて、しない。
「ふふ、これも冗談だよ」
「…冗、談…」
「そう、冗談…。」
私は小さく安堵の息を漏らす。それを見たライトくんがふと目を伏せ、切なげに笑っていたことなんて気付かず、私達は屋敷へと戻って行く。
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