第11章 ヴァンパイアの花嫁
【自室】
「(アヤトくん…あれから出て行っちゃって戻って来ない…どこ行ったんだろ。)」
心に穴が空いたように寂しさが戻ってくる。胸の前で掌をギュッと握り締めた。
ガチャッ
「っ…アヤトくん!?」
「……………」
ドアの方を見たがそこに立っていたのはアヤトくんじゃなくて彼らの叔父だった。
「…一体、なんの用ですか?」
「ミカエル」
「…私は母ではありません」
「ふん…同じようなものだ。その身体にはミカエルと同じ血が流れているのだからな。忌々しい天使の血が。」
「…何をしに、来たんです」
「言っただろう。復讐だと…!!」
「きゃ……!」
ベッドに押し倒されてしまう。
「どうせ貴様は死ぬ運命なのだ。死の呪いに抗えず、心臓が壊れ果て、『特別な者』にも出逢えず、惨めったらしく独りで死んでいく」
「っ…………」
「だったら今殺しても同じだろう?生憎貴様はあの女に瓜二つの顔立ちだ。きっとあの方の復讐心も燃えるだろうからな」
「勝手なこと言わないで!!貴方はコーデリアって人の命を見捨てた母様を恨んでるって言ったけど、貴方達に天使の力を渡したら悪用されるって分かっていたから母様は助けなかった!!正しい選択をした母様を責めるな…!!」
「なんだと…?」
「ぐっ…!」
首を掴む手にギリッと力が込められ、苦しさで顔を歪める。
「貴様の母は人殺しだ。瀕死のあの方を助けようとしなかった。天使の力さえあれば命は救えたと言うのに!!だから死んだあの女の代わりに貴様に復讐すると誓った…!!」
「(身勝手にも程がある!!)」
「その目つき…まるでミカエルそっくりだ。ますます復讐心が膨れ上がる」
私は反抗するような強い眼差しで睨み付ける。
「貴様も母親が憎いんじゃないか?あの女のせいで呪いを掛けられて迷惑しているだろう?」
「この前もそんなこと言ってましたね…。母様のせいで私に呪いが掛かったって。あれは…どういう意味だったんです?」
「"あの人"に逆らったりするからだ」
「え?」
「全ての言葉を否定せず、素直に受け入れてさえいれば、あんな最期を迎えずに済んだと云うのに」
「それってどういう…」
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