第11章 ヴァンパイアの花嫁
「あー早くオマエの中に入りてぇなァ…」
「っ!」
「オマエが先に伝えてくれりゃオレはソッコーでオマエを抱くのに」
「…言わない。」
「じゃあオレも言わねぇ」
「むっ……」
「ブサイクだな」
「ひどい……」
「ククッ……んっ……」
「んん………」
くちゅっと唾液が絡み合い、甘いキスに酔いしれる。この瞬間が幸せだと感じられる。するとギュゥッとアヤトくんが私を抱きしめてくれる。
「っはぁ……メグル……」
「アヤトくん…くすぐったい…」
「ククク…その顔もイイな」
「もう……」
自然と手がアヤトくんの髪に触れ、撫でる。
「…オマエ、それ好きだな。髪撫でんの」
「アヤトくんが、甘えっこだからだよ」
「…フン。ま…嫌いじゃねぇけど…」
その言葉に思わず笑みが溢れる。
「ふぁ…なんか…眠くなってきた…」
「寝てもいいよ」
「メグル、もっとオレを強く抱きしめろ」
「うん…アヤトくん」
「オレが寝るまで…そうしてろよ…」
「うん」
「……………」
目を瞑ったアヤトくんを優しく抱きしめたまま、私も目を閉じる。
「(あぁ…なんて幸せなの。歪な形でもこうやって繋がっていられる。これが…愛───?)」
ズク…
「っ………!」
胸に鋭い痛みが走り、アヤトくんを抱きしめた手に思わず力を込める。
「また痛むのか?」
「う…ん…けど…へい、き…」
「平気って顔じゃねえだろ。メグル、ゆっくり深呼吸しろ」
「はっ…はぁ…う、ぐ…はぁ…」
起き上がったアヤトくんが苦しそうに胸を押さえている私の頭に手を置きながら言う。
「はぁ…はぁ…はぁぁ…」
「落ち着いたか?」
「うん…ありがとうアヤトくん…」
「ったく、泣いてんじゃねえ」
「んっ……」
「チュッ…はっ…んっ…」
優しいキスが落ちてくる。アヤトくんとキスをすると次第に胸の痛みは消え、甘い吐息だけが洩れる。
「(コイツの呪いを解く方法…)」
「…アヤトくん?」
「……………」
何かを考え込むようにアヤトくんは黙ってしまった。
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