第10章 歪な関係で私達は
『彼女には申し訳ないけどな。けどヴァンパイアにとって死は祝福を意味するらしい。きっと彼女の魂も安らかに眠るだろう』
『死が何よりの祝福…相変わらずイカれていますね。これだから魔族は理解できない』
『向こうも私達のことは理解できないと思っているだろうさ』
『コーデリア…魔王ブライと始祖メーネの娘。多数の男と関係を持つ醜女。だから罰が下ったんでしょうね』
『…この話はやめにしよう。寝ているこの子が夢の中で苦しむ顔は見たくない。きっと今日はいい夢を見ているに違いないからな』
『ミカエル…気を付けて下さいね。貴女はヴァンパイアの王の目に触れてしまった。あの男の執着は異常です。もしアイツがお嬢様にまで何かしたら…』
『何も出来っ子ないさ。此処にいる限り、いくらあの男でも手出しは出来ない。ただ…何かを通してこの子と接触する機会はあるかもしれない。この子は私の宝だ。あの男にも娘には手出しさせない。私が必ず守る。』
微睡みの中で優しい手が頭を撫でてくれたのを私は子供ながらに鮮明に覚えている。
◇◆◇
【放送室】
「(まさか…委員の呼び出し放送を頼まれちゃうなんて…校内放送って緊張するんだよなぁ。)」
私は溜息を吐く。
「(えっと…マイクのスイッチは…)」
「ストップ」
「え、アヤトくん…!?」
後ろから声を掛けられ、スイッチに手を伸ばした腕を掴まれる。
「どうしたの?こんなところまで…」
「……………」
「(この感じ…もしかして飢えてるのかな?)」
体を寄せてきたアヤトくんが首筋に顔を近づけ、牙を立てようとする。
「あ…ま、待って、アヤトくん!放送が終わってから…」
「待てねぇ」
「無理無理!こんなところで…!」
「今夜は…ありえねぇくらい渇いてんだよ…」
「だからって今は…」
「チッ、服が邪魔だな」
「や、やだ……!」
「ココからなら…新鮮な血が勢い良く出んだろ…?」
「(胸の…上…。心臓の近く…?)」
「……は……っむ……」
「ま、まだいいって…言ってないのに…っ」
「……んん……っ」
「あっ……んっ……」
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