第10章 歪な関係で私達は
「あー、オッサンだ、オッサン」
「おっさん?」
「そのまんま、言葉通り叔父さんってヤツだ。オレらのな」
「そ、そうなの!?」
今の人がアヤトくん達の…
「んなことより…」
「わっ……!」
突然アヤトくんが首筋に唇を当て軽く吸い付いた。
「な……っ!アヤトくん!?」
「なんもされてねぇだろーな?」
「…大丈夫。噛まれてもないよ。…アヤトくんが来てくれたから」
「そっか…でも、触られたりはしたんだな?」
「それは…まあ。」
「ドコだ。ドコ触られた?」
「触られたって言うか…抱き締められただけって言うか…」
「アイツが触ったトコロは…オレが全部消毒してやる…」
「んっ…あ、あんまり強く吸わないで…っ」
「しかもアイツ…オマエの血を誰かにやるっつー言い方してやがったな…ふざけやがって、コイツはオレのだっつのっ!!」
「きゃ…!い、痛っ!」
突き刺さる痛みにビクッと身体が跳ねる。
「あ、アヤトくん…!痛い!そんなに強く噛まないで…!」
「……っ、油断して、うっかり他のヤツに吸われそうになったバツ…だ…」
「あっ……んっ!ちょ、ちょっと……っ」
「……っ……!」
「ぅあっ!!やっ、いった……!」
「オマエはオレんだ。ぜってぇ誰にも渡さねぇ……はっ……んんっ」
「い、痛いってば!!アヤトくん…!!」
八つ当たりのように強く皮膚に食い込む牙。
痛みに、次第に遠のく意識の中、私はアヤトくんたちの叔父だという彼の声を思い出していた。
『貴様に呪いを掛けた相手は相当な力を持つ者だ。だから"あの人"が掛けた呪いは簡単には解けんぞ。必ず呪いは貴様自身を蝕み、死に至らしめる』
あれはどういう意味…?
私が呪いを掛けられたのは
母様のせいだって言うの…?
それにあの人って誰のこと?
"相当な力を持つ者"なんて
それだけじゃ分からないよ
でも彼が私を見る瞳に激しい怒りと憎悪が宿っていて
凄く私と母様を恨んでいるんだと知った
『そうか貴様…アヤトを巻き込んだんだな』
違う、巻き込むつもりなんてなかった
呪いは私一人でどうにかするつもりだった
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