第10章 歪な関係で私達は
「(私が呪いを掛けられたのは母様のせい!?一体この人は何を知ってるの!?)」
「それに貴様の母親は人殺しだ。瀕死のあの方が助けを求めたというのに見捨てた。貴様達の力さえあればあの方は助かったというのに…!!」
「離して!!」
するとまた、この人の目がスゥ…ッと光を失い、怒り叫ぶ。
「何故だミカエル───!!!」
「…………!!」
その目には深い憎悪と怨みが宿っていた。母様の名前を吐き捨て、私を押さえ付ける力は強さを増す。私は胸の痛みを抱えながら、怖くなってギュッと目を閉じた。
「テメェ……!何やってやがる!!」
「あ、アヤトくん……!」
ぐっと自分の方に引き寄せたアヤトくんが、目の前にいるこの人を鋭く睨みつける。
「チッ……しばらく見ねぇと思ったら…なーにオレの獲物に手ぇ出そうとしてんだよ!?」
「(え?知り合い…?)」
「そうか貴様…アヤトを巻き込んだんだな。まさか呪いの手助けでもさせようとしているのか?」
「っ………!!」
「悪いがソイツには解けないぞ」
「あ?」
「貴様は逃げられない。そうだろう?ミカエル。貴様のせいで掛けられた呪いだ。今更自由の身になれるなど烏滸がましい───!」
「いや……!」
「触んな、オッサン!」
手を掴まれ、拒絶する私をアヤトくんが片手でぐっと胸元に抱き寄せる。
「っつーか、さっきから何訳の分からねぇ事言ってやがる!?呪いがコイツを蝕むとか何とか…。第一、こいつはミカエルっつう名前じゃねぇっての!目ぇ腐ってんのかよ!?」
「……………」
じっとこちらを見つめるこの人に何故か背筋がぞっとした。
「あの女に似て忌々しい…。今日のところは娘に会えただけでも充分だ」
「え………」
「だが……」
「きゃっ……!」
「メグル!」
「必ずあの方と共に貴様に復讐してやる。その血を吸い尽くし、力を手に入れてあの方に……」
「あ……っ!」
「テメェッ!!」
「ははっ、ははは。」
「……………!」
高笑いをしてその人は瞬間移動で消えてしまった。
「(き、消えた……?)」
「…逃げやがったか」
「い、今のって……」
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