第9章 それが狂った愛でも
「はぁ?量によっちゃあ死ぬだろーが」
「そのへんは加減してくれてるでしょ?それが分かったから」
「へェ、そんな簡単に信用していーわけ?」
「(…アヤトくんが他の子から吸血したり、栄養が足りなくて死んじゃったら、嫌だし…)」
改めて嫉妬深い女だと思い知り、苦笑する。前にアヤトくんは自分の方が重いって言ったけど、きっと私の方が…。
「あ?なんだよ、人の顔じっと見て。そんなにオレ様の顔が好きかよ?」
「ち、違います!」
「嘘つけ。オレの全部が好きなくせに」
「!」
「ま、嫌がるオマエの顔見らんねーのはちょっとつまんねーけど…最近の、快楽に歪む顔も悪くねぇぜ?」
首に顔を近付ける。
「じゃ、じっとしてろよ…」
「あ……っ」
「…んん…っ…。……っ……はぁっ……」
「(あれ?)」
体から血が抜けていく感覚がいつもと違い、私は焦り始める。
「あ、アヤトくん……!?」
いつもより量が多い……!
「も、もう放して…!」
「……っはぁ、ククッ」
ドサッと床に倒れ込む。
「(頭が…クラクラする…)」
「悪ぃ、量間違えたわ」
「(絶対…わざと…!)」
「メグル、このまんまちょっと付き合えよ」
意識が朦朧とする私をアヤトくんは抱き上げる。
「(ど、どこに…って聞きたいのに…ダメ、意識が朦朧と…)」
「安心しろよ。ちゃーんと運んでやる。ククッ」
そう不気味に笑ったアヤトくんが連れて来たのは…
「こ、ここって…拷問部屋?」
何でこんなところに…
「あー、そろそろ腕が疲れてきたなぁ?」
「え……」
「降ろすぞ?」
「(アヤトくんが降ろそうとしてるの…拷問椅子!?座る部分が全部針…!)」
サッと顔を青ざめさせる。
「や、やめて…!」
「なんだよ?オレと離れたくねぇの?」
「こ、こんなところに降ろされたら…」
「まあ、痛ぇだろーなぁ?」
「ど、どうしてこんなこと…」
「降ろされたくなかったら…オマエからキスしろよ」
「え……?」
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