第9章 それが狂った愛でも
「メンドくせぇ。一緒に入っちまえばいーじゃん」
「え…ちょ、ちょっと!私は出たばっかりで…アヤトくん!?」
ズボンは穿いたままブラウスだけを残し、アヤトくんは上着を脱ぎ捨てる。ボタンは留めていないせいで、アヤトくんの肌が露になり、私は顔を赤くさせた。
「お互いの体なんて見慣れてんだろ?」
「わ、私は見慣れてないよ…!」
「あー、オマエ大体目ぇ瞑ってるか、泣いてるもんな。ククッ」
「わ、私はやめてって言ったのにアヤトくんが無理やり…!」
「もうすでに恥ずかしいところまでオレに見られてんだから今更勿体ぶってんじゃねぇよ」
ぐいっと腕を引っ張られ、アヤトくんと一緒にお風呂の中に入る。
「ふ、服着たまま…」
「なら脱がしてやるよ」
「や!い、いい……!」
「あーあ、せっかく結んだ髪も台無しだな。どうせなら取っちまえよ」
軽く結んでいた髪は水分を含み、濡れている。アヤトくんがヘアゴムに手を伸ばし、髪を解くと、纏まった髪が胸元辺りまで下ろされる。
「へェ…髪下ろすとそんな感じなんだなオマエ。三つ編みもいいけどそっちもイイじゃん」
「うぅ…せっかく乾かしたのに。またドライヤーで乾かし直さなきゃ…」
「メグル、こっち見ろって」
「!」
そんなこと言われても…!
「ククッ、目ぇ逸らすなよ。全裸ってワケじゃねぇんだぜ?」
「で、でも…」
「なんなら、顔だけ見てりゃ恥ずかしくねぇだろ?」
「(見つめ合ってるみたいで別の意味で恥ずかしいんだよ…っ!)」
「…メグル、今日はオレが体洗ってやるよ」
「え……!?い、いいよっ!」
「遠慮すんなって。ま、たまにはいつも血ぃもらってる礼ってヤツだ。有り難く思えよ?」
自分が楽しみたいだけにしか思えない…!
「あ、アヤトくん…悪いけど私、もう体洗っちゃったの。だから…」
「そんなのもっかい洗えばいいだろ」
「えぇ……」
「っと。ソコ大人しく座っとけ」
「い、いいってば!」
「折角のオレ様の好意だぞ!素直に受け取れっつの」
「うぅ……」
「ほら、脱げよ」
「は、恥ずかしい…」
「あ?…チッ、さっさと脱げっての!」
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