第9章 それが狂った愛でも
「んっ……つめた……っ」
お腹辺りを撫でるように指先が肌に触れ、思わず声を漏らしてしまう。
「気持ちイイ声出しちゃって。もっと上の方、触ってやろうか?」
「えっ!ダメだってば…!」
クスクスと笑いながらアヤトくんの手がどんどん胸の方へと近づいてくる。
「お願い…やめて。ここじゃ…嫌。家に帰ってから…好きなだけしてよ、アヤトくん…」
「へェ…。ククッ、顔真っ赤だぜ、オマエ。目潤ませて、誘ってるようにしか見えねぇよ」
制服に手を掛けたアヤトくんを見てこれからすることが分かった私は首を振る。
「や……っ!」
「家までとか、我慢できるわけねぇだろ」
ビリリッと音がし、アヤトくんがブラウスを引きちぎり、胸に牙を立てる。
「……んっ……ふ……」
「……っ……や、だ……っ!」
「ククッ、まぁだ抵抗すんのかよ?安心しろ。……ん……すぐに周りなんて気にならなくなるって」
「……んんっ……」
「ほら、さっさと理性なんてなくしちまえよ、メグル。オレとひとつんなって、狂っちまうほどの快楽、味わおうぜ…?」
血の快楽に溺れ、私はアヤトくんに吸血されるのだった。
◇◆◇
【バスルーム】
「痛っ……」
新しく噛まれたところがお湯に沁み、ピリッとした痛みに顔をしかめる。
「(着替える時でさえ、布が擦れて痛い…)」
ガチャッ
「おー、なんだオマエ、入ってたのかよ?」
「あ、アヤトくん!?」
突然バスルームに入ってきたアヤトくんに驚く私だったが、すぐに文句を言った。
「もうっ!バスルームには入って来ないでって何度も言ってるでしょ!?」
「あー、悪ぃ悪ぃ。気付かなかったわ」
「嘘だよ!音がしたでしょ!?」
「うるせぇ。つーかなんでオマエ裸じゃねぇんだよ、つまんねー」
「もう入った後だったの!」
着替えてる最中だったから良かったけど…
「っていうか!どうして突然入ってきたの!?」
「るせぇなぁ。オレ様が入ろうと思った時に入ってるオマエが悪ぃんだろうが!」
「そんなの早い者勝ちでしょ!」
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