第9章 それが狂った愛でも
「なあ、メグル…?……んん……」
「……っ……はぁっ、んん。」
「……ん……ふっ……」
「(く、くるし……!)」
「ククッ、オマエってホンットいつまで経ってもキス下手だな。鼻から息すりゃいーじゃん」
「あ、アヤトくん…」
「なんつって…そう簡単にはさせねぇけどな」
そう言ってアヤトくんは私の鼻を抑える。
「こうやって…鼻抑えたまんま口塞いだら…苦しいだろーなぁ?」
「や、やめ……っ!」
「ククッ、苦しそ」
「(ダメ……もうっ……!)」
「……っはぁ。」
「……はっ、はぁ!くっ、けほっ……っはぁ……!」
「こうやって、いつも弱らせとくか?ククッ」
「はぁっ、な……っ」
「あー、でも、死なせねぇように弱らせる、か…。加減が難しいな。間違って殺しちまうかもなぁ?」
「………!」
「それが嫌だったら…メグル?オレ以外のもんに目奪われてんじゃねぇよ。オレだけ、見てろ」
ぞくりと全身が身震いした。
「そうしたらオレもオマエだけを見てやる」
「ど…どうして…こんなことするの…?」
「あ?」
「私はただ、流星群が見たかっただけなのに。星は好きだから今日を楽しみにしてただけなのに…それがどうして湖に突き落とされて苦しいキスまでする羽目に……っ」
ぎゅっと目を瞑れば、涙が溢れた。
「もう……アヤトくんが優しいのか意地悪なのか分からなくなってきたよ……っ」
「それ以上泣くともっかい湖に突き落とすぞ」
「っ………!」
「フッ、ピタリと泣き止んだな」
怖さで涙が引っ込んだだけだよ…!そう抗議する前にアヤトくんのキスが降ってくる。今度は苦しくない、優しいキスだった。
「ん……チュッ……はぁ……」
「んんっ……」
「これは優しいだろ?」
「!」
「んっ……ちゅっ……ん……」
「あっ……ん、ふっ……」
「星なんかよりオレに夢中になれ」
キスの合間にアヤトくんが言う。
「そんで、もっとオレに溺れちまえ。オマエが息できなくなるくらい、キスしてやるから───……」
そう言ってアヤトくんはまた、私にキスをした…。
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