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終わらない愛があるとしたら【ドS吸血鬼】

第8章 素直になれない天使と吸血鬼は



「っ、怖い…」



いつか訪れる死の恐怖に怯えながら、震える身体をギュッと抱き竦めた。



「母様、見守ってて…」



懐中時計の蓋を閉じ、ポケットに戻す。



「アヤトくん、どうしてるかな…」



酷く喉が乾いているようにも思えた。



「もしかして…ユイちゃんに血、貰いに行ってるのかな」



ズキッと心が痛んだ。



「やだ……な」



無意識に言葉が出る。



「(アヤトくんが誰かの血を求める姿なんて…見たくない。)」



でも彼はヴァンパイアだから、血を求めずにはいられないはず。私と同じように特別な血を持つユイちゃんの血だって…飲めばきっとアヤトくんだって抗えない。



「水、飲みに行こう……」



喉が乾き、水を貰いに行こうと部屋を出る。すると隣の部屋のドアが少しだけ開いていて、その隙間から明かりが洩れていた。



「(ユイちゃんの部屋のドアが開いてる…)」



ちゃんと閉めなかったのかな?



「(そっと閉めてあげよう。)」



静かに近付き、ドアを閉めようとした。



「アヤトくん……!!」



彼女の声が聞こえ、伸ばした手を止める。



「っ…………」



心臓がドクンッと嫌な鳴り方をした。



「(今、呼んだ名前って……)」



この部屋の中で一体何が起きているのだろう。それに嫌がるように叫んだユイちゃんの声が頭から離れない。



「……………」



ダメだと分かっていても自分の意思に反して、ドアノブに手を掛けてしまう。



そこから離れて。見てはダメ。何も聞こえなかったフリをして部屋に戻って。じゃないと後悔するよ──そんな声が私に語りかける。



「(分かってる。でも…)」



私は語りかける声を振り払い、開いたドアの隙間から部屋の中を覗き込んだ。



「あ……っ!」



「……んっ……っ!」



「ま、待って……アヤトくん……っ」



ベッドに押し倒されたユイちゃんがアヤトくんに血を吸われている。くんっと鼻から息を吸えば、彼女の血の匂いもいつもと違っていた。



「っ……は……はぁ……あのオンナと……同じ味がする……なぜだ?」



アヤトくんは驚いた顔でユイちゃんの血の変化に戸惑っていた。



「……っ……は、……っ!」



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