第3章 鬼の血の子と稀血の柱　※

鬼には生殖能力はない。半分人間である蛍にそれが当てはまるのかはわからなかったが、月のものひとつ来たことがなく、少なくとも彼女はそう信じていた。

すぐに実弥の律動が、重く、早くなっていく。そのひと突き毎に、蛍のナカは喜びに震え、搾り上げる様に彼に絡みついてきた。

早く彼女を果てさせないと、自分の限界が近い。
実弥が片手を乳房から話すとそのまま下半身へと手を伸ばし、そして彼女の小さな陰核を摘まんだ。

「せめて先に達しやがれ……くっ…俺も出すからなぁ……！」

「お願い、ちょうだい、イクっ…イっちゃう……！！」

実弥の支えを失い、再び床に手をついて尻を突き上げると、実弥も今度は両手でしっかりと蛍の腰を掴み、全力で打ち付けてきた。肉と肉のぶつかる音がどんどん早く、大きくなっていった。

「いやぁ！イクっ！！いっちゃう！！」

「………出すぞ」

「んんっ……ああああああ…！！」

快楽の頂に達した蛍の体が弓なりに反るが、実弥はそれをさらに体重をかけて覆い被さり、最奥の中で全てを吐き出した。

実弥のそれがドクドクと脈打つのが伝わり、下腹部にはじわっと熱いものが広がる。意識が飛びそうになるような恍惚とした快感が全身を駆け巡り、持って行かれないように無意識に実弥の腕にしがみついた。

最後のひと滴まで出し切ったあと、ずるりと引き抜くと、すぐにトロりと中から白濁が溢れ出る。それが勿体なくて、蛍はキュッと股を閉じて座り込んだ。

体が熱を帯び、細胞のひとつひとつが目覚め、脳は覚醒し、力が湧いてくるのがわかった。

「これが…稀血の力……」

まだ震える手足を必死に鎮めながら、独りごちる。

心臓の音が周りにも聞こえているのではないかと思うほど力強く脈っている。体力を使ったばかりなのに、まるで翼が生えているかのように体が軽い。

ふと実弥の方をみると、彼もまだ余韻から抜け出たばかりのようだった。目が合い、口付けをしようとしてきたので、それを人差し指でぴたりと制する。

「あァ？もうお腹いっぱいかよ」

「ええ。その通り」

これは割り切った関係だもの。でもそれをこちらから言葉にするのは、目上の人に失礼なので、それだけを言うと、立ち上がり、また隠の衣服を身につけ始める。