第10章 ※交淡如水 【冨岡義勇】 2 完
あやの言葉に一瞬動きを止めたが、意地悪く微笑んで顔をゆっくりと寄せる。
「ほら、近くで見ていいぞ。」
ぐいっと腰を奥に進めるとあやは眉尻を下げ、目を瞑り「あ…あ」とまた切ない声を漏らす。義勇は微笑みながら唇を優しく舐める。
「あや、目を閉じると俺の顔が見えないぞ。ほら目を開けて息を吐け。」
あやは薄く目を開けると、口を開いて「あー…っ」と吐息とも喘ぎ声とも取れない小さな音を出す。
義勇はその顔を見ながら腰をゆっくりと奥へと進めていく。時折、耳元に唇を寄せ、小さな声であや大丈夫か?と囁く。
ゆっくりと律動していくと、奥から蜜が溢れてくる。あやの口からは「あ…あ。ん…。んん…。」と鼻にかかる甘い声が聞こえてくる。
「善くなってきたか?」
義勇はあやの瞳が熱で潤んできたのを見て甘い声で問う。あやも甘い吐息の合間に、さらに艶っぽくなった義勇の顔を見る。ふふふっと笑いながらその唇に口づけをして「…ぎゆう、…そんなこと聞かないで。」と耳元で囁くと、義勇の腰の動きが速くなる。動きに合わせてあやの喘ぎ声もだんだんと艶を増し、目には涙が浮かぶ。
「あっ…あっ…あっ…。ぎゆうは?…善い?」
義勇は少し体を離しあやの甘い声と惚けた顔を満足そうに見ながら、「そんなこと聞くな。」と答え、あやの体に腕を回して抱きしめる。あやの耳元で「善いに決まってる。」と呟くと、さらに腰の動きを速めて奥を衝いていく。
お互いの息遣いがどんどん荒くなり徐々に昇り詰める。
「あや…もう出すぞ。」義勇はあやの耳に苦しそうな声で囁いて「ん…ん」と喘ぎ、数回に分けて奥に白濁を吐き出す。
義勇は肩で息をしながら、あやをぎゅっと抱きしめて、すりすりと頬と頬を数回擦り合わせ、そのまま横にずらして唇を重ねる。あやの息も義勇の息もまだ荒く、吐息ごと数回重ねる。そっと顔を離してあやの顔を覗き込み「大丈夫か?」と声を掛ける。
「…わかりません。体に力が入らない。」あやは困ったように笑い、義勇の綺麗な瞳を見ながら答える。
義勇は自身の物を抜き出すと、あやの体に自分のシャツを掛けて「こっちを見るな」と言い置いて、裸のまま部屋から出て布団を持って来た。