第10章 ※交淡如水 【冨岡義勇】 2 完
「戦いの中で、状況によっては命を投げ出すのは仕方ないことだと思っている。」
「それは、私もです。」
「・・自分の命は惜しくないが、あやが死んでしまうのは避けたい。生きていて欲しいと思う。」
「・・・その気持ち分かります。」
「俺が傍にいられないのに気持ちを伝えるのは酷かと思った。」
「・・・なるほど。ではどうして?」
体を少し離して義勇はあやの顔を見ながら言う。
「しかし、もう会えないかもしれないのなら・・・逆に伝えておかないと後悔するとも思った。」
「義勇殿・・・」
「あやが好きで、・・大切だ。」
義勇が言いながらあやの顔に近付き、ちゅっと口づけをした後、あやの唇をそっと咥えて離す。そして目を合わせる。
「俺でいいのか?」
「・・・あなたこそ。私でいいの?」
あやも同じ様に唇をはむと咥えてみる。柔らかい。同じように顔を離して目を合わせる。
「あやがいいんだが、俺は女の扱いは上手くないぞ。」
「わたしだって義勇殿がいい。女の扱いが上手くないのは知ってる。・・でも、そういう所も好き。」
あやはふふふと笑いながら、義勇の頬を両手で包み、鼻と鼻をちょんと付ける。
「・・変わってるな。」
眉根を寄せて困った顔をしながら義勇がちゅっと唇を重ねる。
「義勇殿の声も・・・好き。」
あやも義勇の唇にちゅっと唇を付ける。
「そうか。」
義勇はあやの唇をぺろと舐める。舐められて驚いたあやは目を丸くするが、ふふふと笑いながら続ける。
「その藍色の瞳も・・好き。」
「・・・恥ずかしいからもう喋るな。」
一瞬、義勇の藍の瞳が微かに光り、あやの視線と絡む。少し開いているあやの口を義勇は唇で塞ぎ、そのまま舌を中に滑り込ませ、舌先と舌先を絡める。舌を絡めとられて吸われ、また舌が口内にねじ込まれる。
舌が動くたびに聞こえる僅かな水音や、お互いの漏れる吐息であやの背中はもうずっとゾクゾクして、腰の力が抜けてくる。