第5章 ※燎原之火 【煉獄杏寿郎】3 完
あやの中からそっと自身の物を抜き出して処理をする。
あやはこちらに背を向けて泣いていた。
その震える小さな背中を抱きしめる。
「せんせいの言うとおりだった。・・つらい。・・胸がぎゅっとなる。」
「あや、俺も同じ気持ちだ。」
あやは、肩を震わせて、しばらくしゃくり上げて泣く。
ひとしきり泣いて、何回か深呼吸しながら呼吸を整えるとあやはこちらを向いた。
「でも・・・せんせ。私、こんなにせんせいを好きになれて嬉しい。」
と目に涙を溜めて笑って見せた。
「そうか。そう言って貰えて俺は幸せだな。やっぱり君は強いな。」
「せんせー。泣かないでー。」
そのまま朝までベッドの上で最後の時間を惜しみながら、色々な話をしてたくさんキスをした。明るくなる頃に2人で手を繋いで朝ご飯を食べに行った。
引っ越しのトラックを見送ってからあやを駅まで送って行く。もうあやも俺も泣かない。いつでも電話していいからなと言ったが、次に会う約束はしなかった。
そして、俺は家に戻ってスーツを着て午後から仕事だ。
俺の目が赤いことに気づいた宇髄が
「色男。恋の終わりはどうだった?」
と声を掛けて来た。
大きく溜息をつき、「もう2度目は無いな。」と答えておいた。
「煉獄先生。1つ大人になったな。」と大きく背中を叩かれた。「今日は飲みに行くぞ」と付け加えて。
さぁ、新年度がまた始まる。