第5章 ※燎原之火 【煉獄杏寿郎】3 完
「続きをしよう。しかし、現実的な問題が一つと、これから起こりうる問題が一つある。」
「まず、これから起こりうる問題だ。これから君とキスの続きをしてしまうと、明日はもっと離れ難くなる。覚悟を・・といっても、俺もどれ程か想像がつかんが、少なくとも今よりもつらいぞ。・・・でも、きっとそれも人を好きになる事の一部だ。」
「・・・わかりました。」
「もう一つ、現実的な問題はだな・・・その・・・ゴムが無い。」
俺が赤くなりながら言うのを見て、あやも赤くなり、言いにくそうに口を開く。
「・・・せんせい・・あるよ。私、予習して準備した。」
「逆に・・・先生がいつも持ち歩いている方が嫌だ。」
「そうか・・分かった。」
「・・・あや。言いづらいことを言わせて悪かった。しかし、無理にはしないから、嫌な事は我慢しないで欲しい。」
「はい。・・・シャワー・・浴びる?」
「・・そうだな。そうしよう。行っていいか?」
俺が先にシャワーを浴び、交代であやが浴室へ行く。
俺が本を読みながら待っていたら、浴室からあやの声がする。
「せんせ・・。服を着て出るのが正解?バスタオル?・・・裸?」
「・・・裸は・・驚くから何か軽く着て出てくれ。」
「わかった。」
荷物が片付いて段ボールばかりになった部屋をもう一度眺め、明日の引っ越しが終わったら、1年通ったここへはもう来ることが無いかと思うと、また寂しい気持ちになった。