第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
・・・・やってしまった。
咄嗟に体が動いてしまった。つらいのは自分なのに俺に気を遣って強がる彼女が余りにもいじらしかった。
・・そして俺の気持ちまで伝えてしまった。
・・・仕方ない。自分のした事だ。
彼女の不利益にならない様にしていくしかない。
彼女は大学志望だったから行きたい大学に行かせてやりたい。
彼女の為に俺のできることをやっていこう。
「なる程な、晴れて付き合い始めたってわけだ。それで最近煉獄先生はご機嫌なわけね。」
社会科準備室で勝手にコーヒーを入れながら宇髄が言う。
「そうか?」
「ちょっと前までは、なんか思い詰めた顔してたからな。」
「まぁ。そうは言ってもどうせ卒業までだ。教師と生徒じゃできることも限られるからな。青い恋愛を楽しむことにした。」
「・・・卒業したら終わり?」
「物理的にそうなるだろう。彼女の行きたい大学は車で二時間はかかる。今みたいにすぐに会いには行けん。さらに、教員にとって四月は地獄の忙しさだ。彼女は新しい生活に新しい出会いの四月だ。うまくいくはずがない。」
「ふーん。切ないねぇ。でもその分、燃えるねぇ煉獄先生。」
「・・・宇髄。勘違いしていないか?体の関係は持たないぞ。」
「じゃ、今は?」
「塾が終わったら迎えに行って、車で少し話をして、家に送って終わりだ。」
「手は・まぁ・・よく繋ぐ。ハグもたまにする位だ。触れる程度のキスなら今後するかもしれんな。可愛いだろう?」
「お前、それ小学生レベルだぞ。」
「では、君なら、家に送って行って、そのままセックスか?自分のクラスの生徒と?」
「あー・・。さすがの俺も自分のクラスの子と、それは出来ねぇな。」
「そうだろう?だから、いいんだ。それ位で。」
「彼女は大学志望だから、勉強をせねばならんしな。」
「確かに。お勉強するにゃ、溺れる様な恋愛はできねぇな。」
「尤も、溺れるような恋愛のお相手は俺には無理だがな。」