第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
「そうだな。現状が変わらないなら、自分が強くなるしかないよな。」
私は・・・それよりも・・・これを言うと、もしかしたらもう先生は来てくれないかもしれないと思いながらも、はっきりさせたくて思い切って聞いてみた。
「・・・ねぇ。せんせい。あの・・質問です。・・・これは担任の先生の仕事の一つですか?」
私を抱き締めたまま動かない煉獄先生は、ちょっと考えて答えてくれた。
「・・・いい質問だな紫天城。小学校の先生なら・・・結構よくあるかもな、こんな仕事。・・・高校の先生の仕事としては、時と場合によってはあるんじゃないか?」
煉獄先生の声がなんか小さくていつもと違う。あれ?もしかして照れてる?
「た・・例えば?」
「部活で試合に勝ったときとか?今みたいにストーカー被害にあっている時とか?」
煉獄先生。質問に疑問形で答えてるよ。・・・ちょっと押してみる?
「先生のお仕事か。せんせいももしかして私の事好きになってくれたのかと思った。残念。」
一瞬、時が止まった。さっきからドキドキって聞こえるのはもしかして先生の心臓?
「・・・当たりだ。紫天城。」
「いくら担任でもほかの生徒にはここまでしない。健気な君を思わず抱きしめてしまって自分でも驚いている。離れるタイミングを伺っていたところだ。」
「・・・俺も好きになったんだ。君を。」
そう言うと煉獄先生は体を離して、手で口元を隠して体ごと横を向いてしまった。耳が・・・先生の紅い瞳と同じくらい真っ赤になってる。先生、今私のこと好きって言ったよね?
「すまん・・・実は恋愛ごとには疎くてだな。どうしていいか分からん。」
「せんせ。私も恋愛はよく分からないから、どうにもしなくて大丈夫。私が好きなせんせいが、私の事も好きなだけで満足です。」
そうか。では戸締りをして寝るんだぞ。と言って先生は私をちらりと見て赤い顔のまま帰った。
せんせい。私、先生のお陰で眠れそうにないよ。