第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
先生がマンションまで送ってくれて、家の前まで一緒に来てくれた。手も・・・また繋いでくれた。玄関の中まで入ってくれて少し話をした。
「紫天城・・・。俺が君にできることは無いか?」
「じゃあ・・せんせ。・・・また、どうしても怖いことがおきたら、電話してもいいですか?」
「・・・勿論だ。今日みたいに必ず行く。・・・・紫天城。君はまだ震えているのに・・・。何もしてやれなくてすまない。」
優しい優しい煉獄先生を落ち込ませてしまった。話題を替えよう。
「せんせい。でも、私ね。ストーカーは嫌だけど、良いこともあった。」
「・・・何だ?」
「また先生の私服が見られた。髪の毛もお団子にしてある。れんごくせんせいは、本当に何しても恰好いいね。」
「・・紫天城。・・・強がらなくていい。・・・手がまだ震えている。」
「・・せんせい。手はねぇ・・よくこんな風になるんだ。大丈夫。見てて。」
折角繋いでくれた手を離すのは残念だったけど、先生が心配してくれているから、自分の両手を胸の前で合わせてぎゅっと握って、「大丈夫、大丈夫」と深呼吸して見せる。
「ほら、治った!」
手をぱっと開いて笑顔で煉獄先生を見ると、今日一番の悲しそうな顔をしていた。
「・・せんせい?いつもこうやって何回かやってれば治るんだけど、せんせいが手、握ってくれて嬉しかったよ?」
先生と目が合った瞬間・・抱きしめられた。
私の大好きな煉獄先生が・・・私を抱きしめている。先生が着ているちょっと高そうな黒いパーカーからは柔軟剤のいい香りがした。心臓は大きな音でドキンドキンと鳴っているけど、私も腕を背中に回した方が良いのかな?と冷静に思っている自分もいた。悩んでいると煉獄先生が喋った。
「紫天城。君はいつもそうやって一人で健気に不安な気持ちと戦っていたんだな。」
「・・だって、・・・一人だもん。仕方ない。」