第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
駐車場に車を停めて、先生と話をした。
ストーカーは知らない人。
前についてこられた時に警察を呼んだら、家まで送ってくれたけど、そのせいで家の近くで監視していたストーカーに部屋番号がバレてしまったこと。
ある日ベランダにストーカーが立っていて、部屋を覗かれていて怖かったこと。
仕方なく、母との思い出が詰まったマンションを引っ越したこと。
先生は静かに聞いてくれた。途中からまた私が涙声になると、「つなぐか?」と手を繋いでくれた。
「・・君のストーカーの話は宇髄先生から少しだけ聞いていた。もっと詳しく君に聞いておけばよかった。」
「れんごくせんせい。急に電話してびっくりさせちゃってごめんなさい。けどね。先生の言う通り。解決しないんだ。ストーカーは私に何もしてこないから警察も何もできない。」
「何かされたら、警察が調べて捕まえてくれるのかもしれないけど、・・・何もされたくないよ。怖いもん。でも、学校行って、塾に行って、お買い物に行って、生活しなくちゃいけない。」
煉獄先生は私の言葉を聞いて、何と返事をしたらいいか困っている様だった。私の手がまた震え始めたのを見て先生の温かい両手で包んでくれた。
「・・・もう、こんな時間になってしまった。家まで送ろう。」
時計を見るともう11時を回っていた。
「はい。ありがとうございます。」