第4章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】2
「紫天城、大丈夫か?」
「・・・れんごくせんせい・・。遅くにごめんね。ありがとう。・・・・怖かった・・・。」
ほっとした私は涙が出て来た。ハンカチで涙を拭こうとしたら、手も震えていた。泣くと煉獄先生に心配かけちゃうから両手でハンカチをぎゅっと握って、窓の外を見ながらゆっくり何度も深呼吸をした。
「紫天城。君は悪くないから謝るな。俺も遅くなって悪かった。・・・手を出してごらん。」
信号待ちをしている時に見かねた先生が心配そうに声を掛けてくれた。
「れんごくせんせ・・・私の手、今・・・震えちゃってるよ。」
「分かってる。だからだ。」
ハンカチを離して、先生が出してくれた掌の上に右手をのせた。握ってくれた先生の手は大きくて温かかった。
「怖かっただろう。」
「れんごくせんせい。・・・ありがとう。来てくれて。」
先生は私の方を向いて微笑むと、握った手に少しだけ力を込めて、また前を向き車を発進させる。
「紫天城、コーヒーは飲めるか?」
「はい。」
先生はスタバのドライブスルーでキャラメルマキアートを買ってくれた。寝る前だからってカフェインの入っていないやつ。二つ。「甘くてうまいぞ」って。
本当はコーヒー飲んだことが無かったけど、先生と一緒に飲んだキャラメルマキアートは甘くて、温かくて、少し苦くて美味しかった。
お芋が好きな煉獄先生は、飲み物も甘いのが好きなんだと思うと、なんだか可愛いかった。
きっと、この先ずっとキャラメルマキアートを見るたびに、この情景を思い出すんだろうなと思いながら飲んだ。