第3章 燎原之火 【煉獄杏寿郎】1
紫天城の声が段々と涙声になるのを、俺は目を閉じて額に手を当てて聞いていたが、ふと考えて目を開ける。
・・・紫天城が俺の所に電話をしてきたのはもしかしたら最終手段なのか?
「紫天城。切るな。待ってくれ。そこへ行く。どこのコンビニだ?」
「せんせ・・ごめんなさい。ありがと。嬉しい。えっと、〇×病院の近く。」
「君の担任だからな。・・・もし、コンビニに例の男がいても、絶対に目を合わせるな。店員の目に付くところか、外から見える所にいてくれ。」
「はい。」
「俺は支度をするから一旦切るが、出る時にまた電話する。話をしなくてもいいから、通話状態でポケットにでも持っていてくれ。万が一の時の為に声や音を聞きながら向かう。15分ほどで行くからな。黒のハリヤ―だ。もう少し頑張ってくれ。」
気が付いたことを矢継ぎ早に伝え、電話を耳に当てたまま、財布や着替えを用意する。
「・・はい。わかりました。」
プッ 終了ボタンを押して、スマホの画面を少し眺める。
本当にこれは担任の仕事・・か?と思ったが、彼女はほかの子と違って事情があるから仕方ないと無理矢理に考えながら着替えて髪を束ね、車に乗る。
紫天城に電話をかけ、通話状態になったのを確認し、スピーカーで聞きながらコンビニに向かう。